溺れるとは?その真の原因と対処法!水の事故が飲酒で起こる訳!

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海水浴など水遊びに出掛ける機会が増えるに伴い、痛ましい水の事故も起こる季節です。

泳ぐ前の注意点は小さい頃から耳にたこができるほど聞かされてきていますが、それでも事故は起こってしまうのは事実です。

そもそも溺れるとはどういうことなのでしょうか?

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溺れる原因で本当に怖いのは?

「溺れる」とはどういう事態に遭遇することなのでしょうか?

私は以前からこのことが疑問でした。水の事故はどのように起こり、どんな状態に陥ることなのかがイメージできなかったのです。当然わからないので、溺れないためにどんなことに注意すればいいのかもわかりませんでした。

例えば

①基礎疾患を持っている方の水の中での発症

②足がつるなどの症状

③離岸流などで沖に流される

④準備運動不足での急な心臓麻痺

⑤未熟な遊泳能力

⑥海での波や川での流れなど瞬間的な水の強い力

それらの間接的?な原因で浮いていられなくなり事故につながることは容易に想像はできます。

しかし浅瀬で健康な水泳熟練者でも等しく溺れる例もあるので必ずしもこれらが全てではないような気がします。では、足が着かない水の中で体力が尽きたり上記のような疾患に襲われる以外にも「溺れる」状態やその原因はあるのでしょうか?

調べてみますと、確かに上記のような原因以外にも水の中のちょっとしたことで起こりうる溺れる原因がありました。

・迷走神経緊張による意識喪失

人の体は冷水に入ると迷走神経が刺激を受け緊張し、特に頭や首が冷水に浸かった場合は健康な人でも除脈・不整脈が生じることがあります。そうすると意識を失うことが容易に起こりえます。

・呼吸の変化による意識消失

水の中では水温の変化や息を止めたりするなどで、自分でも気づかないうちにに呼吸数が普段よりも多くなったり少なくなったりします。そうすると過換気や低酸素状態に陥り意識を失うことにつながります。


・息継ぎミスによる錐体内出血での平衡感覚喪失

溺死者の50~60%にこの錐体内出血が見られることが近年研究解剖などでわかりました。水の中で呼吸のタイミングを間違えると耳と鼻を結ぶ耳管に水が入り栓ができ、その圧力変化で錐体の毛細血管が出血し、錐体内にある三半規管も機能障害を起こします。錐体内出血自体は一時的なもので重大な症状ではありませんが、めまいがしたり平衡感覚を失ったりするので水中で起こると重大事故につながる恐れがあります。
特に水泳熟練者や浅瀬での事故の多くは、この錐体内出血が原因になっていると思われます。この状態が起きると天地すら判断がつかなくなるので、水の深さや泳ぎのうまさはまったく無関係ありません。ひたすら泳ぎ続けようとすることもあるそうです。

・パニックによる乾性溺水の窒息

やはり遊泳中の呼吸のミスなど、何かのきっかけで気管に水が入ってしまうことは誰もが経験していると思います。
その際むせて咳をしたり息を吸おうとしたりしますが、足が付かない場所であわてるあまりパニックになり、水面に顔を出そうとして体は逆に浮力を失い、何度も水を飲んでしまうということが起こります。

そうすると人の体は、防御反応として咽頭で痙攣が起こり、気管入口の声門という弁が閉じてしまうのです。
これは溺死状態に近い、水で肺が満たされてしまった「湿性溺水」の前に起こる「乾性溺水」と呼ばれる窒息状態を指し、やはり事故の原因に繋がります。
前述の錐体内出血も乾性溺水の窒息を起こす要因になるのは言うまでもありません。これも浅いところや下手をすれば家庭のお風呂でも事故が起こる原因のひとつになっています。

よく、少々の波風や体調不良でも溺れず浮いていられる・無限に泳いでいられる自信はあるという人はいますが、こと上記のようなケースでは突然に襲ってくるのでどんな対処を知っていても関係はありません。

すなわち「溺れる」とはどういうことを指すかと言えば、

・陸地から離れた海中・水中で浮かんでいられる体力の喪失
・既往疾患や一般的な体調不良

以外にも

・水の中でのちょっとした刺激やささいなきっかけで起きる急激な体調変化

が挙げられ、むしろこの方が原因としては多いと言えるのです。

溺れるのを防ぐ真の対処法は?

「溺れる」ことの正体がわかると、それを防ぐ賢い対処法もおのずとわかってきます。

泳ぐ時は、もちろん普段から体調管理を怠らないのは溺れないための当たり前過ぎる対策ですがもっとも基本となるポイントです。例えば風邪気味のときなどは耳管に水が入るリスクが増大しますので、風邪くらいと思わず飲酒と同程度の危険があると考えるべきです。

耳にたこができるくらい聞かされてきた準備運動も有効性があって言われ続けて来たことなので怠らずに行うこと!あまり連続して長時間泳いだりして呼吸が上がったりしないように心がけて下さい。休憩をちゃんと入れることがとても大事なのもこれまでの説明でお分かりでしょう。疲れてくると呼吸の変化やミスが起こりやすくなるのです。

水泳帽は、怪我を防ぐ意味もありますが体温維持という意味でも前述の冷水刺激による事故を減らすので、ダサいと思わずかぶったほうがBESTです。

冷たい飲み物を摂りすぎるのは、体温が低下しているところへさらに体を冷やすので事故のリスクを高めます。もちろん水分補給は重要ですから、体を冷やさない補給を工夫してみてください。
同じ理由で、休憩中は暑いと思ってもシャツなどを着て保温を心がけてください。

普段、日常では鼻呼吸がいいとされていますが、遊泳中の呼吸は口から吸い鼻から吐くという方法が安全です。鼻から空気を吸うと水も吸う恐れがあり錐体内出血を起しやすくなります。

同様の理由で栓ををするなら耳栓でなく鼻栓をするようにして下さい。耳は大丈夫?と思われるかもしれませんが、鼓膜があるので水が中耳に入ることはありません。シンクロナイズドスイミングの選手が鼻栓をしている理由もそこにあります。

もし、息継ぎや呼吸の失敗で水を飲んでしまってもパニックにならないよう、もがかずに力を抜くことを心がけてください。もちろんそれができないからパニックなのだとは思いますが、「錐体内出血」「乾性溺水」などの言葉や知識を頭に置いておくだけでもだいぶ違うはずです。人はもがくほど浮力を失うことを頭に入れておくことが大切です。


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水の事故が飲酒で起きる怖い理由とは?

では、お酒を飲んで泳ぐと溺れる危険があるとよく言いますがそれは何故なのでしょうか?酔っ払って水に入るとどういうリスクがあるのでしょうか。

まず飲酒での事故の最大原因は「血圧上昇」のリスクです。
アルコールの効果に加えて、水による体温変化もさらに血圧上昇を加速させます。また水中では陸地で運動するより水の負荷があるので心拍数は上がりやすいのです。
血圧が急に上がるデメリットは沢山ありますが、遊泳中に最も起こりやすいのは「心臓麻痺」です。水中で心臓麻痺に襲われれば即死亡事故につながるのは明らかでしょう。

2番目は、アルコールによる「運動能力の低下」です。
酔っ払うと千鳥足になる人がいますが、当然水の中でも平衡感覚が失われて体が思うように動かなくなるのが溺れる直接の原因になります。水による体温低下はさらに動きの麻痺を加速させます。
運動能力の低下により、これまで挙げてきた溺れる要因のすべてが起こりやすくなるといっても過言ではありません。特に酩酊時には息継ぎのミスが簡単に起こりやすくなり、錐体内出血や乾性溺水の危険は桁外れに高くなってしまいます。

3番目は「判断能力の低下」が挙げられます。不測の事態に陥ったとき正しい行動が取りにくくなるのも事故の原因となります。当然パニックも起こしやすくなります。

アルコール摂取した状態で溺れると、仮に命を失わずに済んだとしても後遺症が残りやすいことがわかっています。
また飲酒での遊泳死亡事故は、飲んでいない場合の2倍になると言われており、お酒を飲んで泳ぐイコール溺れなかったらラッキーくらいの認識は持つべきです。車の運転同様「飲むなら泳ぐな、泳ぐなら飲むな」の意識は必ず徹底して下さい。

まとめ

「溺れる」シチュエーションを知ることは、それを防ぐ最大の近道です。

知識を持てば準備運動が大事なこともあらためて理解できますし、徐々に体を慣らしていくことや呼吸の仕方の大事さ、装備や水を飲んだ時の心構えも知ることができます。

また、いかに飲酒後に泳ぐことが無謀かも理解できたはずです。

この夏も、注意すべきことを守って事故に注意しながら、楽しく水遊びをしてくださいね!

⇒お子さんを溺れることから守るための知恵はコチラ

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