子供が溺れると気づかない?その対処と水遊びの後の注意とは?

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夏休みに家族連れで海や山へ出かける機会が増えるに伴い、お子さんの事故も起きやすくなるのもこの季節です。

特に多いのが水の事故で、毎年痛ましいニュースがテレビなどで流されます。

事故を防ぐためには、子どもが水遊びをする際、どんなところを注意して見てあげればいいのでしょうか?

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子供が溺れる原因は?

小さい子の死亡原因のひとつには不慮の事故が挙げられますが、中でも交通事故と同じくらい多いのが溺死なのです。
もちろん家庭内でも起こりえますが、なんと言っても海やプールでの危険は家の中の比ではありません。

特に泳ぐ能力も大人に劣るのでその分危険が高いように思われますが、実は「溺れる」ことに泳力はほとんど関係ないといっても過言ではありません。過信や飲酒といった原因がない分、むしろ子どもの方がその意味でのリスクは少ないのです。

実は泳力や体力に関係なく、大人でも子どもでも等しく起こる「溺れ」のメカニズムがあります。

そのひとつが「乾性溺水」というもの。

誰でも経験があると思いますが、泳いでる最中に何かの弾みで水にむせることがあります。息継ぎや呼吸のタイミングで気管に水が入ってしまうのが原因です。
その際、空気を吸おうとあせって水の上に顔を出そうとするとかえって浮力を失うことになり、パニックを起こし何度も水を飲むことにつながります。

するとどういうことが起こるかというと、これ以上水が入ってこないように咽頭で痙攣が起こり、気管入口の声門という弁が閉じてしまうのです。本来なら体の防御機構とも言えるこの状態が長く続けば、当然窒息して死に至ってしまいます。

これが「乾性溺水」と呼ばれるもので、溺死状態の肺の中まで水に満たされた「湿性溺水」とはまた違う溺れの状態を指します。

もうひとつが「錐体内出血」というもの。

近年溺死者解剖で溺れて亡くなった人の50%強がこの錐体内出血を起こしていたことがわかってきました。
きっかけは乾性溺水と同じように水中で呼吸の際に、耳と鼻の間の耳管に水が浸入することで起こります。その際水が栓になり耳管に圧力がかかり、錐体という三半規管がある場所で内出血が起こり、めまいや平衡感覚喪失が一時的に引き起こされます。

ひどい時は天地の方向すらわからなくなり、もがきながら溺れてしまうのです。トライアスロンの選手でさえ起きる可能性があるもので、泳力や体力に関係ない溺れる原因と言えるでしょう。
もちろん前述の乾性溺水を起こすきっかけにもなる原因のひとつです。

水温適応力が高く心臓発作の可能性が大人より少ない子どもの水の事故は、これらが原因の多くを占めていることを覚えておいて下さい。

子供が溺れるとどう見える?その対処は

では大人はどんなことを注意して、そんな溺れるメカニズムから子どもを守ってあげればいいのでしょうか?

中には、私は子どもから目を離さないから大丈夫と考える親御さんもいらっしゃるかもしれません。確かに、基本的には小さい子から目を離さないことがもっとも有効な手段ですが、実はそれだけでは十分とは言えないのです。

以下の動画をまずご覧下さい。

海外の海水浴場風景の動画ですが、0:40頃を初めとして何回か映し出される子どもの一見普通に泳いでいる姿は、実は溺れているのです。
特に沖合いでもなく、みんなが楽しんでいるすぐそばで水遊びをしているだけに見えてますよね。これが子どもが溺れる際の恐ろしい点なのです。実際に動画でも、子どもは溺れても犬掻きで泳いでいるようにしか見えないと解説しています。ライフガードが異変を察知して飛んできても、親が「問題ない」と言うケースすらあるほどです。

では、当の子どもは声を上げてSOSを知らせることはできないのでしょうか?
先ほど説明した乾性溺水の状態では、呼吸をするためにもがいているのですから、まず声は出せないと思ってください。映画での「助けて!」と叫ぶようなわかりやすい溺れ方は、現実ではまずないのです。

声だけでなく、動作での訴えもまず無理でしょう。犬かきに見える理由は水面に体を出そうとする必死の動作なので、それ以外の身振りで助けを求めるなどの細かい行動ができる状態ではありません。

この状態で体をなんとか水面に出していられるのは数十秒~1分程度で、体力のない子どもなら20~30秒程度でしょう。

では、この見ているだけではわかりにくい子どもの溺れをどうすれば気づく事ができるのでしょうか?

常に大丈夫か確認するのが一番ですが、100%見ているわけにはいかないですよね。なのでこんなサインを注意して見ているのが溺れを見逃さないポイントになります。

・頭が水に沈みかけていて、口が水面付近にある
・首を後ろに反らし、口を開いている
・無表情でうつろな目をしていて、焦点が定まらない
・目を閉じている
・額や目が髪に隠れている
・立ち泳ぎのような姿勢、脚を使っていない
・過呼吸または息を切らしてあえいでいる
・ある方向へ泳ごうとしているが前進していない
・あおむけになろうとしている
・水の中で見えないハシゴを登っているような動き

なかなか見分けるのは難しいですが、なにより本来大はしゃぎしながら水遊びをするはずの小さい子が、声も出さず静かに動いていたら溺れていることを疑ったほうがいいでしょう!


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子供の水遊びあとの注意とは?

何事もなく無事に海やプールから帰ってきたら、当然もう溺れる心配などしませんよね。しかし実は「乾性溺水」はその場だけではなく、戻った家などでしばらく経ったあとでも起こりえる症状なのです。

現実に、アメリカで市民プールから帰った10歳の男の子が風呂に入った後昼寝をした1時間後に泡を吹いて亡くなっていたケースがありました。

原因は、遊泳中に飲み込んだ水が何かの拍子に気管に入り、それが体の防御反応を引き起こし声門の弁が閉じ窒息したと考えられています。
そんなにたくさんの水が体内のどこにとどまっていたの?と思うかもしれませんが、「乾性溺水」を起こすのはスプーン1杯程度の水があれば十分といわれ、水遊びだけでなくどこでも起こる危険な溺水と言えるのです。
このような、後からの「乾性溺水」は水死事故の1%程度なので決して多くはありませんが、特に子どもに多いので注意が必要です。

では帰ってからなどの時間を置いた「乾性溺水」はどう防げばいいのでしょうか?これもいくつかの兆候があるので参考にして下さい。

まず眠気です。アメリカの子どもも昼寝の最中に亡くなっています。ただ遊んできた子どもが眠気を訴えるのは普通のこと。

ですので、あとは「乾性溺水」の症状である

・呼吸できない
・痙攣
・白い泡を吹く

これらを少なくとも1~2時間は見守る必要があるでしょう。もし症状を確認したら速やかに救急連絡することが必要です!

まとめ

まさか目の前でわが子が溺れているのに気が付かないなど、普通ありえないと思いますよね。またベッドの上で溺死の危険があるなどは、知らなければ考えもしないことです。

しかし特に小さい子どもにはどんなことが起こりうるのかを認識しておけば注意もできますし、いざと言う時「なに?」と思うことなくすぐに行動できるはず。

せっかくの楽しみにしていた夏に、事故など起こらず楽しむことができるといいですね。くれぐれも気をつけてお子さんと夏を満喫してください!

⇒そもそも「溺れる」とはどういうことなのか?溺れる科学はコチラ

⇒記事一覧はコチラ

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