鉄道会社のCM紹介により、特にぐっと訪れる人が急増した紅葉シーズンの京都。確かのあの映像はあまたの人の心に、紅葉の鮮烈な魅力を焼き付けました。
当然紹介スポットは混みあう形になってしまいましたが、京都にはまだまだ、定番スポットに劣らない知られざる名所が多数あります。
今回はそんな中で、右京区にある紅葉の隠れ名所を紹介しましょう!
京都で紅葉の穴場 直指庵とは?
言わずと知れた紅葉に限らず定番の観光スポットの嵯峨・嵐山エリアをかかえる右京区は、京都区の中では最大の面積を有する地域です。
桂川の西岸に位置し、南部は主に住宅地ですが西部・北部は山間地が占め、市街地・農地・森林・集落などさまざまな顔を持つエリアです。
嵐山渡月橋、トロッコ列車、太秦映画村、天竜寺など観光スポットに困らない地域ですが、混雑度も一級なので行くのが心配な面があります。
そこで、紅葉時期にもゆったり過ごせる穴場の紅葉スポットを厳選して紹介します。
※左上(表題の頭)の→□ボタンでガイドエリアを表示させ、目的の地区にチェックを入れながら参照ください。(スマホでは横回転させると見やすいです)
<直指庵(じきしあん)>
住所:京都府京都市右京区北嵯峨北ノ段町3
TEL:075-871-1880
拝観日:不定休
拝観時間:9:00~16:00(11月~12月上旬は16:30まで)
拝観料:一般500円 高中小400円
駐車場:なし
アクセス:市バス・京都バス大覚寺バス停から徒歩15分
見頃:11月中旬~12月下旬
サイト:http://www5e.biglobe.ne.jp/~jikisian/
竹林に囲まれひっそり建つ浄土宗のお寺で、独照性円禅師が1646年に草庵を結んだのが始まりとされます。
自分の心の奥にある仏心を直に見つめなさいという教え「直指人心」から呼び習われた直指庵は、一度は衰退しましたが、幕末に再興され今に至っています。
直指庵は、嵯峨嵐山駅から遠く場所的に不便なところにあるので、知る人ぞ知る名所でもわりとゆったり紅葉を楽しめる穴場です。
船上観月会でも有名な大覚寺の北側にあり、あの渡月橋からもなんとか歩いては来れますが、なかなかたどり着く人は多くありません。昭和の頃、駆け込み寺と呼ばれ、歌謡曲にも歌われ女性誌にも取り上げられて一時ブームになったスポットですが、今ではひっそりと静けさを取り戻しています。
肝心の紅葉に関しても、嵐山には紅葉のスポットは数々ありますが、この風景を混雑なしで味わえる場所はそうないでしょう。
・紅葉の時期には人で溢れかえる京都も、直指庵は比較的静かに紅葉を楽しむことができます。
・北嵯峨にあり観光客で混雑している観光地から離れ静寂に包まれています。
境内には葦葺の庵、開山堂や思い出草観音、阿弥陀堂など散策ポイントが豊富ですが、紅葉最盛期には思わず立ち止まって見入ってしまう風景の連続です。
凝った庭や精緻を尽くした建物があるわけではありませんが、季節が進むにつれ色合いを千変万化させるここの紅葉は、日々の心の澱を浄化させてくれるはずです。
またなんと言っても、訪れた人が口をそろえて語るのが「心のやすらぐ」「心が落ちつく」ということ。なぜならお寺の静謐さもそうですが、すでに5000冊以上にもなった「思い出の草ノート」の存在が大きいのです。
前述の駆け込み寺の歴史もあって生まれたノートですが、
「そっとその意地を私の心(ノート)にすててください。苦しむあなたをみているのがつらいのです。」
そう記された言葉に誘われ、ページをめくったり自らの悩みを書き記したりすると、嵯峨の静かな時間とともに心の悩みを浄化することができるかもしれません。
このノートのことを聞きつけて訪れる人は多く、特に女性からは強く支持されています。
竹林を進み境内に入ると目に付く愛らしいお地蔵さんは「愛逢い地蔵」と呼ばれ、こう見えて恋愛成就のご利益が強い羅漢なのです。
毎年春と秋に、恵心作といわれる阿弥陀如来坐像をお祀りしている阿弥陀堂・修練道場で寺宝を特別公開しており、今年の紅葉シーズンにも公開されると思いますので、日程が重なれば是非拝観してみてください。
(平成27年は11/15~11/30・12/2~12/6の2回公開されました。)
京都で紅葉の穴場 大法院とは?
<大法院>
住所:京都市右京区花園大薮町20
TEL: 075-461-5162
拝観日:通常非公開
拝観時間:9:00~16:00
拝観料:700円
駐車場:あり(無料)
アクセス:嵯峨野線「花園駅」から徒歩10分
見頃:11月下旬~12月上旬
サイト:http://www.myoshinji.or.jp/index.html(妙心寺サイト)
大法院は、次に紹介する退蔵院とともに臨済宗大本山妙心寺の敷地内に46ある塔頭(たっちゅう=支寺)のひとつで、近くにはあの世界遺産の「仁和寺」があります。
真田幸村の兄、信之の菩提寺のこの寺は普段は非公開で、春(4月1日~5月5日)と秋(11月1日~30日)のみ特別公開のため、あまり広くは知れ渡っていない紅葉(と新緑)の名所です。
親寺の妙心寺は、傘下の塔頭のほとんどを非公開にしており、そんな意味でも賑やかな観光地化をまぬがれている穴場と言えます。また占有するエリアも広大なので、塔頭同士離れていて、独立した寺といっても間違ってはいないでしょう。
・大法院は季節公開であり、しかも季節公開の事実もいまひとつ知られていないので、人が殺到することも無く、割と落ち着いて紅葉を楽しめる庭です。
参道で染まる真っ赤なツツジも見事ですが、見どころはなんと言っても客殿に囲まれた「露地庭園」に尽きるでしょう!
この春と秋にも公開される庭園は、侘び寂びに富んだ落ちついた風情に燈籠や飛び石が配置され、そこに苔や紅葉の程よい緑と赤や橙が視界をバランスよく遮ります。その創り込みの妙にはため息が出るほどです。
ちなみに「露地」は普通庇や屋根のない場所というイメージしかないと思いますが、仏語から来た言葉で門内や庭先を指し、特に千利休は茶室に付属した庭をさして露地と呼びました。
拝観料には抹茶やお菓子が含まれており、ほの暗い堂内の緋毛氈の上で甘味に舌鼓を打ちながら、その落ち着いた空間を占有できるでしょう。
また、玄関を入るとある坪庭は広くはない空間ですが、そこに落ちて無造作に散らばった葉の小さな赤い掌は苔の緑色も相まって、風情という言葉はこのためにあるのではないかと思うほどその場を離れがたい景色です。
紅葉以外にも、方丈内の襖には江戸時代中期の絵師・土方稲領作「叭叭鳥図(ははちょうず)」が描かれており、8面にわたり100羽の鳥が梅の木の上を自由に飛ぶ様が観れます。叭叭鳥図は銀閣寺ほかいろいろな場所で描かれ絵師も異なるので見比べてみるのも楽しいかもしれません。
露地はただ
浮世の外の道なるに
心の塵をなぞ散らすらむ
千利休作のこの句は、「茶のための庭は道であるとともに雑念を消して茶を楽しむためにある」という世界観を表しており、枯山水や池泉回遊庭園もいいですが、露地庭園のある大法院はまさに茶を心静かに嗜むわびさびに富んだ落ち着ける寺と言ってもいいでしょう。
京都で紅葉の穴場 退蔵院とは?
<退蔵院>
住所:京都市右京区花園妙心寺町35
TEL:075-463-2855
拝観日:無休
拝観時間:9:00~17:00
拝観料:大人 500円 小人300円 (通常拝観)
駐車場:あり(無料)「花園会館」駐車場利用
アクセス:嵯峨野線「花園駅」から徒歩7分
見頃:11月下旬~12月上旬
サイト:http://www.taizoin.com/
大法院と同じ妙心寺の塔頭で、中でも国宝「瓢鮎図」や枯山水庭園「元信の庭」、池泉回遊式庭園「余香苑(よこうえん)」でよく知られている名刹です。
庭園入り口の枝垂桜など桜の名所として記憶している方が多いと思いますが、余香苑の庭園での紅葉もファンが多く、ライトアップもされるのでおすすめです。
・春は凄い人になりますが、秋は空いています。ゆっくり紅葉狩りを楽しめます。
・平日でもそこそこ観光客は居ましたが、茶席利用は私達だけで、ゆっくりと過ごす事が出来ました。
参道ではモミジに出迎えられ、庭園では池を囲む紅葉がちょうど良いバランスで配置され、池の水鏡に映る彩りを愛でながら抹茶をいただくこともできます。
また珍しい黒砂が撒かれた「陰陽の庭」でも暗灰色の地面にコントラストをなす紅葉が観賞できます。
是非耳にして欲しいのが、余香苑の水琴窟の癒される音色。落ちる水が反響させるその音はまさに琴の音そのもので、昔の人の粋な仕掛けの発想力には驚かされるばかりです。
なお、退蔵院には紅葉の見頃に合わせて粋な企画が毎年行われます。それが「秋のお食事付き特別拝観」です。
【秋のお食事付き特別拝観概要】
開催日:2016年11月18日(金)~12月4日(日)
開催時間:
・朝プラン 8:00~9:30 ※期間中の土日祝のみ開催
・昼プラン 11:30~13:00※期間中の土日祝
及び11月21日(月)~30日(水)は13:00~14:30の回も開催
・夜プラン 17:30~19:00 ※期間中の土日祝
及び11月21日(月)~30日(水)は19:00~20:30の回も開催
・夜スペシャルプラン
11/26(土)・11/27(日)の2日間は、秋の味覚の代表格である
栗・松茸を味わう「京のスペシャル御膳」を予定
参加費:
<朝プラン> お一人様:3,500円(税・特別拝観料込)
<昼プラン> お一人様:4,000円(税・特別拝観料込)
<夜プラン> お一人様:5,000円(税・特別拝観料込)
<夜スペシャルプラン> お一人様:7,000円(税・特別拝観料込)
募集人数:各回約40名(先着申込順)予約サイトにて受付中
親寺の妙心寺御用達のミシュラン1つ星の「阿じろ」の精進料理を味わいながら紅葉を愛でる優雅な企画なので、ぜひと言う方は早めにお申込みください。
まとめ
京都の紅葉の穴場に見られる共通点として、敷地が広大・アクセスの便・限定公開・人気スポットの周辺という傾向が見られますが、ここ右京区の穴場も各々にそれが当てはまるようです。
いずれも素晴らしい紅葉を独り占めできるお得感がある名所ばかりですので、是非参考にしていただければ幸いです。
⇒右京区のほかの紅葉穴場
「京都の紅葉で右京区の穴場を厳選!鹿王院・厭離庵・愛宕念仏寺!」
「京都の紅葉で右京区の穴場を厳選③!宝筐院・滝口寺・西明寺・化野念仏寺!」
「京都の紅葉で右京区の穴場を厳選④!清涼寺・大河内山荘庭園・車折神社!」
「京都の紅葉で右京区の穴場を厳選⑤!宝厳院・法金剛院・護法堂弁財天!」
⇒記事一覧はコチラ