風の盆の正しい楽しみ方は由来から!宿泊や駐車場、見どころを解説!

e26ea0b7794c55dc26bda18ee2af77e5_s

北陸の小さな町に響く唄声や三味線・胡弓の音色は、訪れた人を幽玄の世界へと誘います。坂の町を舞台に民謡の宴が静かにとりおこなわれる「おわら風の盆」は私たちを幻想の世界へと導く人気の行事です。

そこには「祭り」と言いはばかられる経緯があり、近年の観光のあり方へも一石を投じる貴重なイベントとも言えます。

「おわら風の盆」とは、いったいどんなものなのでしょうか?

※よければ、以前公共放送で製作されたドラマ「風の盆から」のテーマ曲を流しながらお読みください。久石譲さんが作ったおわら風の盆にぴったりの素晴らしい楽曲です。

スポンサーリンク

おわら風の盆とは?

近年では25万人が押し寄せ、観光スポットとして賑わいを見せる「おわら風の盆」は、本質は静かな民謡行事です。地元の方はおわらを祭りと呼び習わさないほど、明らかに他のイベントスポットと性格を異にしています。

ではどんな行事なのでしょうか?おわら風の盆に関してはそこを理解していくのが大切なように思えてなりません。なぜならそれはどう楽しむべきかにも関係してくるからです。

なので、まずここではおわら風の盆についてあらましを簡単に紹介したいと思います。

江戸初期、加賀藩から町を開く許可証(町建て)をもらって八尾町を開町した米屋少兵衛の子孫は、その後商売上の理由で町建て書類を持ったまま別の地に移ってしまいました。
八尾町役人はその大切な書類を苦心の末取り戻しますが、その祝いとして賑わい事をお咎めなしとするので、三日三晩町内を練り回れという触れが出したのが、この行事の由来とされています。

その後、風災害の被害なく豊作を願うために、台風の多い時期を迎える二百十日頃の9月1日~9月3日に行うようになったのが「風の盆」の始まりとされます。

「おわら」の語源は面白おかしく「おおわらい」しながら踊ったからや、五穀豊穣を願う「大藁」から、また「小原村」で始まったからなど諸説ありますがはっきりわかってはいません。

現在の「おわら」歌謡は「歌」「地方」「踊り」の3つで成り立ちます。

「歌」は七、七、七、五の26文字で作られ、最後の5文字の前に必ず「オワラ」と入ります。この「正調おわら」以外にも変形の歌詞があって唄い手の技量が求められるそうです。

 八尾よいとこ おはらの本場
二百十日を オワラ 出て踊る

「地方(じかた)」は、楽器と合いの手・ハヤシで唄を支える伴奏の位置づけです。三味線・太鼓・胡弓・囃子が唄に寄り添うように響きます。

「踊り」は、農作業を模した「豊年踊り」、やはり農作業の所作を男性的に表現する「男踊り」、蛍取りの姿などを艶やかに表した「女踊り」の3種類があります。

それでは具体的にどんな行事かといいますと、八尾町を構成する11の町(東新町、西新町、諏訪町、上新町、鏡町、東町、西町、今町、下新町、天満町、福島町)が、練習で磨いた民謡を舞台上や町流しで披露していくというものです。各町が自主的に行うため、全体を盛り上げるようなプログラムイベントがあるわけでもありません。
いわば八尾の人が自分たちのために大事に育ててきた行事なのです。

ですので、おわら風の盆は八尾町自身の行事であり、訪れた方たちへの観光イベントではないことをまずは押さえておくべきでしょう。

たとえば、楽器や着物が傷むため小雨でもただちに中止されますし、町流し・輪踊りのスケジュールも場合によっては恣意的に変わるのであてになりません。(見物客による混雑が原因だったりもします)

そんな風習の性格さえ知っていれば、「遠いところを来たのに」と駄々をこねることなく、楽しむ上のマナーやルールとして理解できるはず。
おわら風の盆は、北陸の小さな町の自主民謡をムードや幽玄さとともにを静かに味わう、いわば見せていただく行事なのです。

逆に、喧騒に包まれた祭りを楽しみたいのであれば、おわら風の盆は不向きと言えるのでやめたほうがいいでしょう。

風の盆の見物で宿泊や駐車場は?

<基本情報>

場所:富山県富山市八尾町

日にち:9月1日~9月3日(前夜祭は8/20~8/30 20時~22時)

時間:9月1日~2日  15時~23時(演舞会は19時~)
9月3日    19時~23時(演舞会なし)

公式サイト:http://www.yatsuo.net/kazenobon/index.html

八尾周辺の宿は、地方有名イベントの習いで早くから抑えられてしまっているので予約は困難です。民泊もないので富山市・高岡市・金沢市などで探すようかと思います。(最近はそれでもいっぱいというケースがあります)

富山市ホテル旅館事業協同組合

高岡市ホテル旅館協同組合

金沢市旅館ホテル協同組合

アクセスは

・鉄道~JR高山本線の越中八尾駅下車
路線バス利用

・車~会場付近駐車場まで行き
シャトルバス利用

駐車場は、風の盆期間は少し離れた越中八尾駅の東側の八尾スポーツアリーナになり、そこからシャトルバスで近くまで行くことになります。利用料は一般車1,000円です(前夜祭期間はエリア内の町民ひろばになります)

・駐車場:八尾アリーナ駐車場 15時~23時

・シャトルバス:運行時間 15時~23時

駐車場は満車になることがほとんどなので早めの到着がおすすめです。ちなみに期間中の3日間は、交通規制がかかり行事エリアはほぼ車両進入禁止となり混雑します。

2015年交通規制案内図

owaramap


スポンサーリンク

風の盆の楽しみ方

それでは、おわら風の盆はいつ行くのがいいのでしょうか?

もともと練習に当てていたものを混雑解消のために披露して始まった前夜祭ですが、最近は夏休み最後の時期に重なることも手伝い、ツアー客も入って混雑するようになりました。また夜の2時間しか行われず、雨天でも中止なので、なかなか前夜祭は行きづらいのではないでしょうか?

そうすると風の盆本番の9/1~9/3がベターということになりますが、例年の傾向で言えば、演舞会が開催されず、町流しの時間も短い9/3がいちばん人出が少ないタイミングになります。(今年はちょうど週末に重なるので、読みづらいですが)

風の盆の魅力は、各町の「町流し」と「演舞会」のおもにふたつがメインになります。

演舞場は有料で、8月1日からチケット販売が始まりますので興味のある方は早めに申し込んで下さい。
ただ演舞会が行われる19時~21時あたりが最も混雑し、その後も演舞を終えた各町が町流しへと出て行くので、引き続き終了時間23時まで混雑します。

演舞場に腰をすえて楽しむのもいいですが、おわらはなんといっても各町が行う町流しや輪踊りが見どころです。
なので町の風情とともに町流しを味わいたいのであれば、(駐車場の開門時間でもある)町流しが始まる時間を目途に15時~17時にご覧になることをおすすめします。早く散策を始めるとゆっくり回れますよ。
ただ、当然踊りながら移動していくので、闇雲にウロウロしてもなかなかうまくいきません。

なので、情報を知って賢く動くことがコツになります。

まず、案内所でガイドマップをもらうことは必須です。(八尾フラット館など数箇所あり。マップ参照)
マップや待ち流しの予定、見どころや電車時刻表など、おわら風の盆に関する情報がもれなく載っていますよ。

2015年ガイドマップ

そのうえで、各町の公民会や会所にある掲示板で予定表をチェックするなどして動きをできるだけ把握してください。
例えば、夕食や休憩を取る17時~19時は町流しは行わないなどの基本情報を知らないと無駄に動いて疲れるだけになります。

八尾町は、4kmに渡って坂の続く町なのでヒールの低い動きやすい靴がいいですよ!
また雨の多い土地でもあり、前述のとおり雨天時は直ちに踊りを中止しますので頭に入れて計画を立ててください。

夜中にかけても町流しは恣意的に行われますが、終電時刻(23時台)や駐車場閉門(23時)を考えればそんな遅くまでの見物はむずかしいと思います。(中には軒先で寝ている人もいるそうですが、9月といえ夜中は冷え込みますのでお止めください)

まとめ

詳しい方のブログにあったのですが、おわらの記録は「写真よりビデオ、ビデオより録音」がいいそうです。

もちろんフラッシュやモニタの明かりがおわらの邪魔をする意味もあります。
ですが、おわらを音として切り取ってきて、胡弓や三味線、ぞうりの踏む音や手拍子、家々の軒下を流れるえんなかの水の音を家で暗くして聞けば、見てきた光景が脳裏によみがえり味わい深いという意味合いもあります。

おわら風の盆は、いっとき現実の喧騒を忘れて静かに民謡の響きを味わう・・・そんな楽しみ方が似合う行事と言えそうです。

⇒記事一覧はコチラ

スポンサーリンク
関連コンテンツ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。