ゴールデンウィークに京都を訪れる方は、毎年たくさんいますが、5月の京都にも桜や紅葉に劣らない花ごよみがあります。
「カキツバタ」も、そのひとつ。
晩春というより初夏の訪れを告げるこの花は、味わい深い紫を湿性地に咲かす、しっとりした風情が魅力の花です。
そこで、ちょうどゴールデンウィーク頃から咲き始めるカキツバタを味わいに、貴方も5月の京都を訪れてみませんか?
落ち着いた紫色が目に優しいカキツバタが、わずかに夏の気配も伴った景色で、貴方を迎えてくれますよ!
⇒「京都でゴールデンウィークに花が見頃のおすすめ名所20選!全解説!」
大田神社のカキツバタ 見頃や見どころは?
<大田神社>
世界遺産・上賀茂神社の境外摂社として、本社より500mほど東にある大田神社は、賀茂氏によって開墾された沼沢地に建ち、参道脇には約2000㎡の大田の沢という沼が広がります。
創建年代が不明なほどの古刹で、天鈿女命(あめのうずめ)を祭神とし、古くは「恩多社(おんたしゃ)」とも呼ばれました。
大田神社の名を広く知らしめているのが、なんといってもカキツバタの名所であること。
「日本三大カキツバタ自生地」として、約25000株ものカキツバタが大田の沢に自生しており、国の天然記念物にも指定されています。
・朝日の差し込む杜若は、花の青と葉の緑がチラチラ交差して、自分の目がおかしくなったような不思議な感覚になってしまいます。
・池のカキツバタの控えめでいて凛とした美しさと、まさに目にしみるような葉の緑はこれからの初夏の訪れを感じさせます
群落がある大沢ノ池は、参道に入ってすぐの右側に広がります。
同じ風情で咲く菖蒲などの色とりどりの景色とは違う、落ち着いた紫色の花弁は、緑の葉の中で調和の取れた配色を生み出し、レビューにあるとおり不思議な感覚におちいります。
その群落の歴史は古く、平安時代には藤原俊成にも「千家和歌集」の中で詠まれたほど。
「 神山や
大田の沢のかきつばたふかきたのみは
色にみゆらむ 」(神の山の近くにある大田神社のカキツバタに深く願う恋は、花の色のようになんと一途で可憐なことよ)
また、尾形光琳の屏風絵「燕子花図(かきつばたず)」(東京港区の根津美術館所蔵)のモデルにもなったと言われ、1000年もの間、芸術・文化にも影響を与えた風景でもあります。
1本の茎に3回ほど花を開くカキツバタは、最初が大きく咲くと言われるので、終盤よりいくぶん早めがいいかも知れません。
また、東にほど近い場所にある「深泥池」には、池畔に「白花カキツバタ」が咲く「深泥池生物群集」もあるので、合わせて寄ってみるといいでしょう。
<基本情報>
住所:京都市北区賀茂本山340
TEL:0775-781-0907
拝観日:無休
拝観料:300円(カキツバタ育成協力金)
拝観時間:9:30~16:30
駐車場:なし(上賀茂神社利用)
アクセス:市バス「加茂神社前」下車 徒歩約10分
見頃:5月上旬~5月中旬
サイト:http://www.kamigamojinja.jp/topics/2011/2011_kakitsubata.html
平安神宮のカキツバタの見頃や見どころは?
<平安神宮>
出典:「京都もよう」
明治時代に、平安遷都1100年祭に伴い「内国勧業博覧会」が京都で開かれた際に、平安京の朝堂院を模して建設された神社で、衰退していた京を復興させる願いも込めて建てられました。
壮大な鳥居や大極殿、応天門の鮮やかな丹塗りは壮麗の一言で、八坂の塔と並んで京都のシンボルとも言える建造物と言えます。
また名勝指定もされた神苑は、東・中・西・南の4つに別れた池泉回遊式庭園で、四季折々で花ごよみの華やかな風景を見せてくれます。
特に八重桜の名所としては屈指のスポットで、南と北の神苑では花に埋もれながらの散策が楽しめます。
かんじんのカキツバタの景色は、主に中神苑の「蒼竜池(そうりゅうち)」で見ることができます。
同じく見頃が始まる、睡蓮の花が池面を飾る畔で、1000株ものカキツバタが競い咲きます。
・平安神宮神苑には、季節の花々が美しく、日本の美を感じさせます。中でも5月に咲く珍しい「折鶴」というかきつばたは、まさしく折鶴のような形をしています。
・季節に行くと、池に咲いた蓮や、周りに咲いた杜若などが綺麗です。
中でも、平安神宮でしか見られないのが「折鶴」という品種。
光格天皇がこよなく愛したと言われるこのカキツバタは、紫の花弁に縁と中心が白い珍種で、まさに折られた鶴がとまっているいるかのようです。
池には、臥竜橋と呼ばれる、三条・五条大橋脚の石材を使った飛び石があり、渡ることももちろんできますが、落ちるのは注意下さい。
水面が見えないほどの、黄色や真紅に咲く睡蓮も見事でですが、もしカキツバタとの競演が楽しみたければ、睡蓮が開いている午前中早めがオススメです。
<基本情報>
住所:京都市左京区岡崎西天王町97
TEL:075-761-0221
拝観日:無休
拝観料:神苑600円(境内無料)
拝観時間:6:00~18:00(時期により30分程度変動あり、要確認)
神苑拝観/8:30~17:30(3/15~9/30)
駐車場:なし
アクセス:バス「京都会館・美術館前」下車 徒歩すぐ
地下鉄 東西線「東山」駅下車 徒歩約10分
京阪電車「神宮丸太町」駅下車 徒歩約15分
見頃:5月上旬~5月中旬
サイト:http://www.heianjingu.or.jp/
勧修寺のカキツバタの見頃や見どころは?
<勧修寺>
つつじの名所「随心院」とは小野駅をはさんで西側に位置する勘修寺は、応仁の乱で焼失後、江戸時代に再興されました。宗派は真言宗山科の大本山で、本尊は千手観音像が祀られます
醍醐天皇の祖父母に当たる藤原高藤と、宮道列子とのロマンスで知られ、玉の輿伝説の元になったのがこのお寺です。
大きな「氷室池」がある庭園「勧修寺永池園」は、紅葉や桜の時期には、観音堂を囲んで燃え咲く景色が評判ですが、蓮の花がきれいに水面を飾る頃も、訪れる人も多いお寺です。
山科区は全般的に観光客が少ないエリアですが、ここもやはり比較的人出は緩やかで、ゆっくり過ごせる穴場と言えます。
・ここのお薦めは、なんと言っても 氷池園という庭園です。とても趣があります。京都の中心部から少し外れているので、観光客も少なくとても静かに借景を利用したこの庭園を堪能できます。
・池に睡蓮の花やカキツバタが咲き乱れるので、池の回りのベンチに座って眺めるのも風情があっていいですね。
勧修寺は、春から夏にかけて見事な花の寺で、特に5月の境内は見事の一言。
池泉回遊式庭園に建つ観音堂の美しさを一層引き立てるように、花木が色を添えます。
氷室池を舞台として、紅白の睡蓮の花が目覚める周囲では、青もみじの新緑と、藤の花やカキツバタの紫色がコントラストを競い、運が良ければ、まだ残る椿の華やかさも味わえるかもしれません。
カキツバタも1色ではなく、紫色に加え白い花も加わり、傍らでは黄色の菖蒲も色を添えます。
まとまりがない紹介になってしまいましたが、それほど5月の勧修寺は、訪れるべき百花繚乱のお寺と言えるのです。
睡蓮、カキツバタ、藤、キショウブ、青もみじ・・連休後半にこの寺を訪れない手はありません。
<基本情報>
住所:京都市山科区勧修寺仁王堂町27-6
電話:075-571-0048
拝観時間:9:00~16:00
拝観料:400円
駐車場:あり(40台)無料
アクセス:地下鉄東西線「小野駅」下車、徒歩5分
京阪バス「小野」下車、徒歩1分
見頃:3月下旬~4月上旬
※TOP画像も勧修寺の風景:出典「京都もよう」
まとめ
カキツバタは、同じ時期に咲くつつじの華やかさとは対象的に、落ち着いた風情がなんとも言えない魅力があります。
また、同時期に傍らで静かに開く睡蓮とのしっとりとした競演も嬉しい花でもあります。
そんな連休に開花をむかえるカキツバタは、ぜひゴールデンウィークを利用して見るべき花とも言えるでしょう。
京都のカキツバタの名所を、ぜひ連休を利用して、その目で確かめにお出かけになってみてはいかがですか?
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