結婚すると、これまで気にしなかった気遣いが急に増えるものです。なかでも案外きちんとしないとあとあと困るのが互いの実家との関係です。
結婚後の初めての年中行事や時節の挨拶はこれからの距離感も左右するので良く考えて決めたいですよね。
例えば、同居していない義父母へは結婚した年くらいお歳暮を贈るべきか考えてしまう方も多いのでは?
今回は、そんな結婚後の義理実家へのお歳暮の一般的な考え方やマナーを考えてみます。
結婚したらお歳暮を実家に贈るべき?
お歳暮は、先祖の霊を迎えるお供えを暮れの内に本家に届けておく習慣が、今ではお世話になった人へ感謝をこめて贈る風習に変化したものです。
由来はともかくお世話になったという意味では、結婚した年などは身内とは言え義両親は最も当てはまるでしょうから、お歳暮をと考えるのは自然なことでしょう。
では、実際にどれだけの人が実家にお歳暮を贈っているのでしょうか?
いくつかのアンケートなどの調査を見てましょう。
・贈る 29%
・贈らない 71%
2010年 ゼクシイ 「実家との付き合いでお歳暮を行った」(285人中女性269人)
新郎実家へ贈った 19%
新婦実家へ贈った 16%
2006年 アンケートデータバンク「お歳暮誰に贈ってますか?」(対象:男女)
1位 親 38.0%
2位 親戚 18.6%
3位 会社関係 15.3%
4位 お世話になった方 5.4%
5位 友人 4.7%
2014年 マルハニチロ「今年のお歳暮予定」(対象:20歳以上男女)
1位 親戚 45.5%
2位 親・義親 38.1%
3位 (義)兄弟姉妹 29.6%
4位 友人・知人 27.0%
2014年 リサーチバンク 「どなたにお歳暮を贈る予定ですか?」(対象:既婚男女)
1位 両親(義理も) 53.1%
2位 兄弟姉妹(義理も) 31.0%
3位 親戚 44.4%
4位 仲人 6.1%
5位 上司 11.5%
6位 取引先 9.4%
7位 その他 4.5%
2014年 ㈱マーシュ 「お歳暮を贈る相手」(対象:女性未婚37.5/既婚62.5%)
1位 親戚 57.4%
2位 自分の親 30.9%
3位 友人・知人 30.0%
4位 夫の親 23.7%
5位 仕事関係 23.1%
6位 恩師 6.9%
7位 自分の子供 4.0%
8位 その他 3.1%
おのおの数字にばらつきはありますが、設問や選択肢・対象の年齢層や性別・未婚既婚などによって変化するのは当然でしょう。それでもお歳暮を贈る予定のある方は、その贈り先として(義)両親が上位を占めていることは読み取れそうです。
お歳暮を贈るか否かは50%ずつの割合が調査結果として多いですから、かなりざっくりとですが100人のうち50人がお歳暮を贈り、その30~50%程度の15~25人が(義)両親に贈ると見ることができるでしょうか。
ですので、お歳暮の贈り先として(義)両親はわりとメジャーと言えそうです。
それでもアンケート回答者の意見としては、やはり「親に贈るべきか」や「贈る人がどれくらいいるのか」が気にかかっている方が多く、身内の関係で贈るのが適当なのかを迷う様子が伺えます。
一方で、何かとバックアップしてくれたり子供(孫)ができれば面倒も見てくれることも感謝し、決して虚礼ではなく思いやりをもって贈っている方が多いですし、結婚して両親や義親に贈るようになった自分を大人になったと実感する喜びを感じる方もいます。
注意する点は、もし贈るのでしたら来年はやめるというわけにはなかなかいかないこと。もちろん先方から「堅苦しいことはなしにしましょう」と提案されれば無理に続けることはありませんが、そうでなければ続ける覚悟は持って始めてください。
また必ず両家へ贈るようにしないと、あとあとわかった時に角が立ってしまいます。先ほどのように辞退されて一方だけになるのはしょうがありませんが、そうでなければどちらかだけに贈るというわけにはいかない事は注意ください。
お歳暮の時期で結婚後に帰省する場合は?
たまに見かけるのが、最初くらい手渡ししたいので帰省時に持っていきたいが時期的にどうか?という疑問です。確かに配送は遠方だから使うのであって、本来贈答物は手渡しが基本ですからできるならそうしたほうが理想です。
ただこれはもちろん、帰省のタイミングがどれくらいの日にちになるかということもあります。前述のとおり、お歳暮は正月に先祖を迎えるために、嫁いだり分家した人が親元へ集まる際にお供え物を持ち寄ったのが由来ですが、時期としては正月準備の「事始」12月13日から12月20日までとされたそうです。
お世話になった方への贈答儀礼に変化した今は、地域性は若干ありますが12月初旬~20日くらいが礼儀とされます。
正確には年内でもいいとはいえ、20日を過ぎれば何かとあわただしくなることも考慮すれば、もし帰省が一般的なお盆休みに入ってからになるようでしたら、お歳暮とお年始・手土産は分けたほうが無難です。
実際、お中元と比較するとお歳暮は贈る人の割合が少ない傾向があります。これはやはり年末年始に帰省して手土産やお年始を渡す機会があることが関係しているでしょう。続けて2回の進物は少しくどい感じがしますし、毎年のこととしたら出費も抑えたいのが人情です。
ですので、どちらかひとつにしてもいいですし、もしお歳暮を贈るなら配送で期間内に送って、帰省の際は手土産・お年始として渡せばいいでしょう。手土産とお年始は、帰省が年内なら手土産、年を越すようならお年始として渡し、どちらかだけで構いません。
お歳暮の送り状 結婚後に送る例文は?
もし、手渡しと思っていたお歳暮を帰省の前に送るようにするのでしたら、送り状を出すとより丁寧になって気持ちが伝わるのでおすすめです。これはいきなり送りつけ、相手の手元にふいに届くことを柔らかい感じにする効果もあります。
特に長々と書くことはなく、短く簡潔に気持ちを表すのが効果的です。内容的には、贈る趣旨(お歳暮であることや理由の今年特にお世話になったことなど)がメインになります。
併せて、いつ、どこから、どんな品物が届くことになるかを知らせておけば、先方も心準備ができて親切です。とくに贈るものによっては冷蔵庫その他の置き場所の準備もできるので心遣いとして大切でしょう。
いろいろな書き方があるかとは思いますが、文例の雛形をひとつ紹介します。
拝啓
師走を迎え何かと気ぜわしい毎日ですが、皆様お変わりございませんか?
おかげ様でこちらも、ドタバタとではありますが日々幸せに暮らしています。
早いもので結婚して早や○ヶ月が経ちますが、その際はいろいろお骨折りいただきありがとうございました。
心ばかりの品物ではありますが、感謝の気持ちを込めて○○を別便でお送りしましたので、お口に合うか心配ですがどうかお納めください。
お正月にはそちらへ帰る予定ですので、その際は宜しくお願い致します。
寒い日が続きますがどうかお体を大切にして、良いお年をお迎えください。
敬具
平成○年○月○日
署名○○ ○○
仕事関係ではありませんので、義両親に対しても改まった硬い表現ではなく、上記くらいの少し砕けた表現が親近感があっていいでしょう。こんなサンプルをたたき台にしてアレンジしてみてください。
まとめ
身内同士の社交辞令は、案外他人同士より難しいものです。変によそよしくても変ですがポイントを押さえないとトラブルの元にもなり、その見極めが大変ですよね。
しかし、子供もできたりしていろいろ応援もしてもらうことが予想される実家との関係は良いに越したことはありませんから、お中元やお歳暮などの贈答儀礼は、できれば欠かさずしておくほうがいいのではないでしょうか?
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