また、つらい花粉症の季節がやってきますが、いろいろな症状で悩まされている方も多いことでしょう。
花粉症は幼児では発症しにくいと言いますが、そんな時期に子供がくしゃみをしていたり、目を痒がっていたりすると「もしかして?」と心配になる親御さんも多いのでは?
そこで今回は、幼児の花粉症についていろいろ解説してみたいと思います。
花粉症 幼児はいつから発症するの?
幼児をお持ちのお母さんは、子供が花粉症の時期にくしゃみや鼻水が出ているのに気がつくと「もしかして、もう花粉症に?」と心配されることがあるのではないですか?
風邪とも見分けが付きづらいこともあり、医者にかかるまでは気がかりになるでしょう。近年さまざまな病気が低年齢化をしていると聞きますが、花粉症は何歳くらいから始まる可能性があるのでしょうか?
アレルギー疾患もいろいろあり、発症時期も個人差はありますが、一般的にはアトピー性皮膚炎は2~3ヶ月、食物アレルギーは4~5ヶ月、小児ぜんそくは2~3歳と言われています。
では、アレルギー性の鼻炎や結膜炎を含む花粉症はと言うと、Ige抗体が作られるのは2回目のアレルゲン接触のときですから、理屈上は2歳以降ということになりますが、花粉は年に一度の限られたシーズンであることから、これまでは7~8歳頃の学童期までは発症しづらいとされてきました。
ところが、近年では1割弱の幼児に花粉症発症が報告され、別の調査結果ではなんと幼児期で20~30%(小学生では30~40%、中学生以上では50~60%程度)とも言われており、低年齢化が進んでいるのが実情なのです。
実際に2ヶ月過ぎの子供でも発症している例もあるので、2回目の花粉シーズンにはもうなってしまうお子さんもいるということです。また、親の世代に比べ発症数も数倍に増えている現状もあります。
また最近では、1歳未満の幼児でも発症する可能性があることが解ってきています。
花粉アレルゲンに接する2回の機会のうち1回は母体を通じてということになりますが、ごく稀なケースとしてですから、あまり心配することはないでしょう。
今ではどこへ行っても衛生的に保たれている日本ですが、その昔はどこでも汚れに接する機会は多くありました。この汚れとセットで花粉などのアレルゲンが身体の中に入ると、アレルギー発症がかなり抑えられることが近年の研究で分かってきました。
花粉症などのアレルギー発症が低年齢化しているのは、日本が清潔になりすぎたためという皮肉な結果が関係しているのかもしれません。
アレルギー疾患は相互に関連しており、これまではアトピー⇒食物⇒ぜんそくを経て花粉症になるという「アレルギーマーチ」と呼ぶ流れがありましたが、最近では低年齢化の中で、順番も当てにならなくなっています。
ただ、注意すべきはアレルギー疾患同士は関連性があるので、例えばアトピーの子は花粉症にもなりやすいということが言えるのです。
よく親がアレルギーを持っていると子供もなりやすいのではと心配するお母さんも多いですが、全く無関係ではないとは言え、前述のような環境要因の影響が増している中では、あまり気にかけるほどの関連性ではなくなっています。
むしろ、いつでも誰でも発症するという心構えで予防や対処をすることがアレルギーへの正しい向き合い方と言えるでしょう。
花粉症と風邪の見分け方で子供の場合は?
花粉症の症状はほぼ風邪と同じなので、幼児が鼻水やくしゃみなどをしていても花粉症かどうかの判断はつきずらいと言えます。春先は子供が風邪を引きやすい季節でもあるのでなおさらです。
ですので、一番いいのは医師に受診して血液検査などをしてもらい、アレルギー検査で花粉症かどうかやアレルゲン物質の特定をきちんとすることが大事です。
それでも風邪と花粉症の区別するポイントの目安ということで言えば、くしゃみや鼻水の症状以外に、熱や咳を伴っているか否かがポイントになります。鼻をよくこすったり、目が赤くて痒がるだけの場合、花粉症の疑いがあるでしょう。
また、花粉症では鼻詰まりがひどいのが特徴ですが、風邪の場合はそれほどつらい鼻詰まりがないことが多いです。
さらに鼻水も粘りがあれば風邪の疑いが強いですが、サラサラなものなら花粉症の可能性があるでしょう。
他にも顔面の紅潮や夜泣きが増えるなども花粉症の目安と言えます。以下は簡単な花粉症判断のチャートですので参考にしてみて下さい。
いずれにしても、上記はあくまで目安でしかありませんし、アレルゲン物質の特定は日常の対策に欠かせない大事な情報ですから、子供が花粉症ではと思ったら速やかに医療機関に相談して下さい。
花粉症の幼児の対策や何科に受診するの?
それでは、幼児が花粉症の疑いがあるときは、どんなことに注意をすればいいのでしょうか?
まず花粉症であってもなくても、アレルゲンの花粉症との接触機会を極力減らすことが最も大切な予防・対処策になります。
特に近年の研究で、もともと免疫異常があるという以外にも、皮膚から侵入したアレルゲン物質が結果として免疫異常を引き起こすことがわかりつつあり、花粉をいかに防御するかが重要なポイントであることが分かっています。
スギ花粉などの花粉症の有効なアレルギー免疫療法として脚光を浴びている舌下減感作(げんかんさ)療法も、小児~大人では有効ですが、幼児には投与が難しく向いていないので、日常の中で花粉を避ける工夫が重要です。
・花粉情報をよくチェックし、多く飛ぶ日や時間帯は外になるべく出ないようにする
・こまめに掃除し、加湿器で適度な湿度を保つ
・洗濯干しは室内でしたり、外の場合は完全に花粉を払う
・外出の際は皮膚の露出を避け、嫌がらなければ幼児用のマスクやゴーグルを着ける
また、花粉症の少ない日は外で身体を動かしたり、食事や規則正しいスケジュールで過ごすことは大事ですし、予防接種をスケジュール通りに受けることも忘れないで下さい。
その上で、抗アレルギー剤の内服や点鼻・点眼薬などを使って症状を抑えるのが一般的な治療になります。
くれぐれも受診前に、見込みで大人用の市販薬を試すことは避けるように。効果が強すぎて副作用が出てしまう恐れがあります。
受診科は、かかりつけのお医者さんがいればまず相談すればいいですし、いなければ耳鼻科が基本になります。ただ病院のシステムにもよりますし、小児科や皮膚科でも場合に応じて回してくれるので、あまり心配せず行ってみて下さい。
仮にもし花粉症だったとしても、子供の場合は大人になっての発症より免疫力が高まる時間があり軽減する可能性も高いので、根気よく頑張ってみて下さい。
まとめ
繰り返しますが、花粉症かどうかは医師にかかって判断することが基本になります。
日本ではスギ花粉が最も一般的ですが、ブタクサなど違う時期に注意が必要なものもありますし、全く違うアレルゲンが原因の可能性もあるので、対処の仕方が異なるからです。
くれぐれも受診した上で、今回の記事なども参考にしながら対応してみてくださいね。
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