晩春のつつじや藤の花が見頃を終えると、夏の気配をはらんだ花ごよみに景色が変わっていく京都。
その主役は、何と言っても陰鬱な雨にも爽やかな色を添えるあじさいでしょう。
千変万化の色彩で目を楽しませてくれる紫陽花の名所は、京都にもたくさんあります。
そこで、数ある紫陽花の名所の中でも、とっておきの穴場スポットを、見どころや見頃とともに紹介しましょう。
Contents
梅宮大社の紫陽花の見頃や見どころは?
<梅宮大社>
出典:「京都もよう」
その名の通り梅の名所として知名度が高い梅宮大社は、四季を通じて草花の色彩が絶えない花の名所です。
その3つの神苑(庭園)では、回遊しながら折々の花を楽しむことができます。
梅の季節に劣らず圧巻なのは、初夏の花の競演!
あじさいの見頃には、花菖蒲やサツキ、睡蓮と、初夏を代表する花々も一度に鑑賞できる稀有なスポットです。
その素晴らしさは、三室戸寺など屈指の名所が多い京都の中で、複数の花が楽しめる点や、絶妙の草花のレイアウトで、一番の名所と評価する京都通もいるほど。
アジサイは主に、東神苑と北神苑に群生しています。
玉あじさいや柏葉あじさい、額あじさい、山あじさい等、その数なんと140種類1300株!。
5月から咲き始める山アジサイなど、品種的に長く鑑賞ができる点も嬉しいスポットです。
・紫陽花を静かな庭園でゆっくり観賞したくて決めました。思ってた以上の広い庭園と紫陽花の種類の多さにビックリ! 傘をさしながらも充分楽しめました♪
決して作りすぎてもいない、野趣あふれる自然さも清々しい梅宮大社の神苑は、あじさいの隠れ名所としてイチオシです。
750年頃が創建時期と見られる単立の神社の松尾大社。
酒造安全と子孫繁栄のご利益に篤く、楼門には奉納された酒樽も多数飾られ、またぐと子を授かるいうパーワースポット「またげ石」も評判です。
境内には猫がたくさんいることでも知られており、猫のお守りやおみくじもあるなど、隠れた猫好きの聖地にもなっています。
<基本情報>
住所:京都市右京区梅津フケノ川町30
TEL:075-861-2730
拝観日:無休
拝観料:550円(境内無料)
拝観時間:9:00~17:00
駐車場:あり(無料)
アクセス:阪急電車「松尾駅」下車徒歩約10分
見頃:5月下旬~7月上旬
サイト:http://www.umenomiya.or.jp/index2.html
恵心院の紫陽花の見頃や見どころは?
<恵心院>
宇治で花の寺として親しまれているのは、三室戸寺ばかりではありません。
女性の住職自ら丹念に育て作り上げ、地域の人に花の寺として愛されているのが、宇治川のほとりに佇む「恵心院」です。
もちろん大きなお寺にスケールは及ぶべくもありませんが、規模だけでは語れない花を愛する景色がそこにあります。
初夏の頃には、さまざまな姿をした可憐な紫陽花が境内を彩ります。
山門をくぐると始まる散策路は、すぐ紫陽花に両脇を囲まれ、その色彩の豊富さは見飽きないほど。
・四季を通じて、様々な花の共演が観られて、別名花の寺と呼ばれる所以にもなっている静かなお寺です。ちょうど6月はあじさいが楽しめました。季節のうつろいを静かに味わいたいときには、こちらのお寺をおすすめしたいです。
・ここのご住職は女性。とても感じが良く、よく話される。・・・ここは、散策は自由だが拝観はできない。好きに入って、見事な紫陽花を愛でるのも今がチャンス。
アナベル・額アジサイをメインに、墨田の花火・クレイナ・オタフク・・・と本当に無料でいいのかと思うほど、個性的な花々が鑑賞できるスポットです。
空海が開いた古刹「龍泉寺」を、「恵心院」として再興した恵心僧都は、源氏物語のヒロイン「浮舟」を入水から改心させた「横川の僧都」のモデル。
そんな宇治に伝わるロマンを背景に、四季を選ばず来る人を花木でほっこり和ませてくれる、隠れた花の名所が恵心院です。
お話し好きでもある主に声をかけられたら、ひとしきり花談義を気軽にしてみるのも、記念になり一興でしょう。
うまくすると、モリアオガエルの卵も見られるかもしれません。
<基本情報>
住所:京都府宇治市宇治山田67
TEL:0774-21-3942
拝観日:無休
拝観料:境内無料
拝観時間:6:00~17:00
駐車場:あり(無料)
アクセス:JR奈良線宇治駅から徒歩で15分
京阪宇治線宇治駅から徒歩で10分
見頃:6月上旬~下旬
二尊院の紫陽花の見頃や見どころは?
<二尊院>
「小倉山 峯のもみじ葉 心あらば 今一度の 御幸またまん」
百人一首にも歌われた、小倉山の麓にある「二尊院」。
歌の通り、秋には紅葉で名高いスポットですが、初夏にも新緑や花の景色が気持ちのいい、嵯峨野の名刹です。
・紅葉の時期は人が多い場所ですが、緑の多い紫陽花の時期は落ち着けて気に入っています。
特に、春や秋には「桜の馬場」や「紅葉の馬場」と称される広く長い参道は、この季節、青もみじの天蓋が見事。
あじさいも、数こそ多くはありませんが、広い境内の至るところに点在して花を咲かせているので、ゆったり散策しながら鑑賞できるのが楽しいポイント。
品種が少なく、主に青い紫陽花が多いのも境内の落ち着いた雰囲気にマッチし、かえって爽やかな印象を風景に加えています。
二尊院の見どころの本堂・如来像を見学したり、誰でも衝ける「幸せの鐘」を撞きながら、ゆっくり可憐な花を愛でてみて下さい。
天台宗に属する二尊院は、「釈迦如来」と「阿弥陀如来」のふたつを本尊とするため、この寺名が付きました。
ちなみに、和菓子にも欠かせない「小倉餡」はこの地で職人・和三郎によって作られたもの。
境内には発祥地碑もありますので、よければあじさい散策の途中に見学してみて下さい。
観光客で連日賑わう嵐山エリアの中で、静かで落ち着いた時間が流れる穴場スポットの二尊院。
あじさいの鑑賞にかぎらず、京都の寺院観光としてもイチオシの静かなお寺です。
<基本情報>
住所:京都市右京区嵯峨二尊院門前長神町27
TEL:075-861-0687
拝観日:無休
拝観料:500円
拝観時間:9:00~16:30
駐車場:あり(無料 10台)
アクセス:京福電車「嵐山駅」下車 徒歩約19分
JR「嵯峨嵐山駅」下車 徒歩約20分
見頃:6月中旬~7月上旬
松尾大社のあじさいの見頃や見どころは?
<松尾大社>
大陸より渡来して住み着いて、701年にこの地に松尾大社を開いた秦氏は酒造りでも秀でた技を残し、「醸造の神様」としても信仰を集めています。
その境内には、酒造りには欠かせない名水「亀の井」が湧き、パワースポットとしても人気を集めます。
春の桜や初夏の山吹に次いで、境内を彩るのは30種・3000株のあじさい。
松尾山の斜面に広がる、奥の院付近のあじさい苑では、毎年野趣にあふれる紫陽花の園が、観光客を迎えてくれます。
・梅雨時、紫陽花の咲き始める季節の京都を選んで行きました。庭園はもちろん、紫陽花もキレイに咲き、とにかくステキな場所でした。
・日曜に松尾大社へ行ったら、紫陽花がメッチャ綺麗に咲いてました!・・・三室戸寺まで行こうかと思っていたのですが、近場に こんな良い所があったなんて…。なかなか見応えがあって、堪能しました!
毎年6月中旬頃から公開されるあじさい苑には、額アジサイやコアジサイを始め、珍しい星アジサイ・八重カシワバアジサイも見られます。
どちらかと言うと、人の手が入っていないように植えられているため、自然にままに群生するアジサイの森を楽しめるはずです。
東の賀茂社と並んで京都洛西の総氏神の松尾大社は、京都最古と言われる大社です。
その本殿は「松尾造り」という珍しい形式で重要文化財になっています。
また、あじさい苑の途中にある3つの庭からなる「松風苑」は、現代庭園の傑作と言われる見どころなので、じっくり見学してみてくださいね。
嵐山の喧騒の中で、ここは落ち着いた時間が流れる、隠れた名所としてオススメです。
<基本情報>
住所:京都市西京区嵐山宮町3
TEL:075-871-5016
拝観日:無休
拝観時間:9:00~16:00
拝観料:500円
駐車場:あり(100台 参拝時1時間無料)
アクセス:阪急松尾駅から徒歩約3分
見頃:6月中旬~7月上旬
サイト:http://www.matsunoo.or.jp/
大豊神社のあじさいの見頃や見どころは?
<大豊神社>
梅雨空のオフシーズン。
人影もまばらな「哲学の道」の、見過ごしそうな脇道を入ると、ふいに姿を現すのが「大豊神社」です。
椿峰山を背負うこの古刹は、山名にもなった椿をはじめ桜や蝋梅などがきれいな、知る人ぞ知る花の社。
どの季節に訪れても、豊かな草木に埋もれることができる、ステキなスポットです。
特にこの季節、哲学の道から続く参道沿いには、あじさいを筆頭にさまざまな花がしっとり色づき、初夏の風情に溢れます。
その広くはない石畳の小径に咲くのは、京鹿の子、ホタルブクロ、ニワナナカマ、シモツケなどの山野草です。
決して派手にではなく、落ち着いた佇まいで参道を演出し、参拝者の心を和ませます。
・小さな神社ですが参道に可愛らしい草花が植えてあるので目にも楽しく拝観しました。神社の方もにこやかで素敵な所です。
大豊神社は「大国主命」を祀る神社で、古事記神話に基づく「狛鼠」が守る社。
子宝や縁結び、学業成就のご利益が篤い「ねずみの社」として親しまれています。
ネズミをモチーフにした絵馬やお守りが、かなりの人気だそうなので、訪れた記念にぜひ。
哲学の道が喧騒に包まれても、ここだけはひっそりとした京都通の隠れ名所です。
ご存知の貴方は、ぜひ道を折れて向かって下さい。
<基本情報>
住所:京都市左京区鹿ケ谷宮ノ前町1
TEL:075-771-1351
拝観日:無休
拝観料:無料(境内自由)
拝観時間:境内自由
駐車場:あり(無料 4~5台)
アクセス:市バス「宮ノ前町」下車 徒歩約3分分
見頃:6月中旬~7月上旬
まとめ
名所の条件や要件によく挙がる品種数や株数。
ただ、穴場の隠れ名所はいずれも、量よりも花で作られる奥深い景色が魅力の主役です。
山肌に散策路を作って、紫陽花をたくさん植えただけではない珠玉の隠れ名所を、ぜひ自身の目で確かめにお出かけ下さい。
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