あつ(集まる) さ(真に) い(藍)・・「集真藍(あずさい)」。
その名の通り、真に青い花が集まって咲くアジサイは、土壌や気候の微妙な加減を色で表現する繊細な花です。
そんな紫陽花の名所は日本各地に数あれど、京都ほどその七変化の色彩を、余すことなく味わえる場所はないでしょう。
そこで、京都であじさいと言えば!という名所から、隠れた珠玉の穴場まで、厳選して紹介しましょう。
京都・洛東のあじさいの名所
清水寺を筆頭に、観光名所が目白押しの洛東エリア。
西の嵐山と並んで、京都を訪れたことを実感できる観光要所ですが、初夏でしたら、京都通も黙らせる以下のあじさいの隠れ名所を見逃す手はありません。
1.智積院
サツキやツツジ目当で訪れる人の絶えない智積院は、実はその後に続く紫陽花が必見の隠れ名所。
豊富な数の花が、境内を埋めつくすスポットです。
小ぶりな花弁を無数に開かせた小径では、ハート型の花も見つけられる、無料の庭園はオススメ!
宿坊も好評の、智山派総本山の名刹です。
⇒智積院のあじさいの詳細情報
2.大豊神社
哲学の道沿いにひっそり佇む大豊神社は、やはり「草花の社」。
その参道は、しっとりと初夏の山野草で飾られます。
珍しい狛ネズミが守る「ネズミの社」としても愛され、風情ある石畳の参道とともに、哲学の道脇の穴場としてオススメです。
京都・洛南のあじさいの名所
醍醐の桜や千本鳥居の伏見稲荷、また世界遺産・平等院と観光客垂涎のスポットをかかえる洛南エリア。
ここは、あじさいでも弩級の名所や珠玉の穴場を有します。
花の寺と呼ばれるスポットはたくさんありますが、その本当の意味を知るのは、ここ洛南でと言っても過言ではありません。
1.三室戸寺
京都に限らず「花の寺」と呼ばれるスポットはたくさんありますが、この寺ほどその称号にふさわしいスポットはありません。
そのスケールや種類は群を抜いており、特に「あじさい寺」と呼ばれる所以の、50種・1万株の庭園は圧巻です。
鎌倉の明月寺に劣らない評判の宇治の名刹を、あじさい時期に見逃す手はありません。
2.恵心院
宇治川のほとりにある、三室戸寺に引けを取らない「花の寺」が恵心院です。
スケールこそ譲りますが、自然を愛する女性の住職が丹念に育てた草花の境内は絶品。
特に紫陽花は、これで無料?と心配するほど豊富な花を咲かせる隠れ名所なので、やはり見逃す手はないでしょう。
3.藤森神社
駆馬神事として有名な「藤森祭」で知られた伏見の「藤森神社」は、創建が203年という古社。
その境内を3500本ものアジサイが埋めつくす名所としても有名です。
「紫陽花の宮」とも称され、ふたつの紫陽花苑で40種もの千変万化の色彩を鑑賞することができます。嵐山観光の際には、ぜひ初夏の風情を確かめてほしい隠れ名所でしょう。
京都・洛西のあじさいの名所
何と言っても、京都観光の横綱、嵯峨野・嵐山エリアを有する洛西エリアは、その賑わう名勝のそばでひっそり佇む、隠れ名所の宝庫でもあります。
もちろんあじさいの時期にも、抜かりはありません。
1.松尾大社
屈指の名所の山吹に続いて、境内の松尾山の斜面を彩る紫陽花が見事な「松尾大社」。
奥の院あじさい園で、毎年野趣あふれる花の園が観光客を迎えてくれます。
その数は30種・3000株にもおよび、近年では渡来した秦氏のパワースポットとしても人気を集める「花の社」です。
⇒松尾大社のあじさいの詳細情報
2.梅宮大社
その名の通り、梅の名所で有名な「梅宮大社」は、酒造りや子孫繁栄でもご利益が篤いパワースポットです。
名高い3つの神苑(庭園)は、四季折々の草花が楽しめる「花の名所」ですが、初夏にもアジサイを始めとして、花菖蒲、睡蓮、サツキといっぺんに季節を味わえる、贅沢なスポットです。
中でも紫陽花は140種類1300株と豊富で、野趣あふれる風景が楽しい隠れ名所でしょう。
3.二尊院
嵐山の喧騒をよそに、ゆったりとした紫陽花を愛でる散策が楽しい「二尊院」。
あじさいの鑑賞にかぎらず、京都の寺院観光としてもイチオシの静かな穴場寺です。
数や品種は少ないですが、爽やかな青の紫陽花が静かな境内にマッチした、まさしく嵐山の穴場スポットです。
4.善峯寺
洛西・西山の中腹にある天空の花の寺が「善峯寺」です。
京都を見下ろす眺望とセットで眺める、山肌の紫陽花の斜面は圧巻!
快晴でもですが、雨に煙る花の景色は、京都絶景として記憶に刻まれること間違いありません。
5.楊谷寺
本尊の千手観音の霊験で、目の観音様として評判の「楊谷寺」。
鮮やかな色彩の紅葉寺として、たくさんの人がこの山深い寺を目指しますが、27種・4500株ものあじさいが、訪れる人を迎える名所でもあります。
「西の清水」とも称される、この豊かな紫陽花の山寺は、あまり人は多くなく、落ち着いて見学することができる穴場スポットと言えるでしょう。
6.法金剛院
仁和寺のほど近くにある律宗の法金剛院も、初夏の花の寺です。
浄土世界を具現した蓮の池を囲む庭園では、蓮の花だけでなく、花菖蒲や沙羅とともに紫陽花が競演に加わります。
絶世の美貌を誇った建礼門院が興した法金剛院は、その硬い印象の寺名に反して、たおやかな花の風情や歴史ロマンが溢れるスポットです。
京都・洛北のあじさいの名所
平安京・北大路以北の洛北は、上賀茂神社を始めとして、京都の奥座敷として貴船・鞍馬、鷹ヶ峯、大原をかかえた、険峻で自然豊かなエリアです。
そんな山ふところにも、見逃すことのできないあじさいの園があります。
1.三千院
苔むした侘び寂びの名園で集真藍(あずさい)を深く味わうなら、山里にあるこの古刹を訪れる必要があります。
歌謡曲でもおなじみの大原の三千院は、初夏に約3,000株が咲き誇る屈指の名所。
色とりどりにではなく、癒やしの静けさに包まれて咲く紫陽花は、他の名所では味わえない魅力にあふれています。
2.京都府立植物園
開業以来、長年京都府民や観光客に愛されてきた「京都府立植物園」は、初夏にも2500株ものアジサイで目を楽しませてくれます。
圧巻は180種の品種数で、あじさいの名所と言われる寺社でもせいぜい40~50種ですから、いかにアジサイ鑑賞に最適のスポットかがわかります。
園内には観覧温室や森のカフェなどもあるので、梅雨時のお子さんとのお出かけにもイチオシのスポットです。
3.しょうざんリゾート京都
江戸時代の稀代の芸術家、本阿弥光悦が職人を集って開いた芸術村を、鷹ヶ峯の自然とともに現代のリゾート空間として楽しむことができるのが「しょうざんリゾート」です。
その日本庭園ではあじさい園が無料で開放され、和の紫陽花たちが35000坪を染め上げます。
京料理も楽しめる総合リゾートなので、たまには家族連れで贅沢なあじさい鑑賞もオススメですよ。
4.舞鶴自然文化園
京都でも北の、日本海に突き出た大浦半島にある「舞鶴自然文化園」は、自然に恵まれたスケールの大きなあじさい鑑賞が魅力です。
見下ろす谷あいを花が埋めつくす景色は、まさに「アジサイの海」。
自然と触れ合える自然公園なので、子供連れで初夏に出かけられる、京都でも貴重なあじさいスポットです。
まとめ
京都の花暦は、桜や紅葉がクローズアップされがちですが、あいだに挟まれたこの季節こそ真価を発揮するのは、行ったことがある方ならご存知でしょう。
特に、鎌倉に劣らず雨の似合う風景の多い古都にあって、アジサイは相性が抜群の花と言えます。
ぜひこの初夏には、そんな「京都の色」を自身の目で確かめに出かけてみませんか?
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