また、つらい花粉症の季節がやってきますが、いろいろな症状で悩まされている方も多いことでしょう。
そんな中で、コンタクトレンズを使っている方は特に目のトラブルに悩まされがちです。
今回は、花粉症の時のコンタクトレンズ特有の症状やその対処法について考えてみました。
花粉症でコンタクトが痛い・ずれる原因は?
花粉症の方は症状もその部位も一つではないので本当につらいですが、その上コンタクトレンズをしている方はさらに辛いトラブルを招きやすいので毎年大変です。
具体的には、花粉症の代表的な症状である充血やかゆみに加えて、レンズがずれて痛くなったり、くもって見えづらいなどで困っている方は多いのではないでしょうか。
特にこの時期には、まばたきする度にレンズがくっついてそのまま上にずれて困る方などが多く、仕事や運転など日常生活に支障が感じてしまいます。
不思議とどちらか片目だけの場合もありますが、花粉症の時期にレンズがずれるの原因は何なのでしょうか。
花粉症時の目のトラブルは主にアレルゲンを病因とする結膜炎が85%を占めますが、痒みや異物感、目やに・涙が多く出るといった症状が強く出てしまいます。
場合によってアトピーもある方などは「春季カタル」と呼ばれる重症化結膜炎になるケースもあり、秋季にかけてひどい症状が続いてしまいます。特に若い人に多く見られる結膜炎です。
しかし、中でもコンタクトをしている方が花粉症時に併発しやすいのが「巨大乳頭性結膜炎(GPC)」です。これは、花粉などのアレルゲンで腫れた粘膜が、さらにレンズに付いた異物などに刺激され炎症粒が融合し大きくなってしまうものです。
この炎症は痒みもありますが、なんといっても困るのが瞼の裏のぶつぶつの大きな突起によってレンズが動いてずれてしまうこと。ドライアイでもレンズが動いてしまうことはありますが、花粉症などの方はこのGPCによることが多いです。
少し抵抗があるかもしれませんが、瞼をめくって白い米粒状のできものがあれば「巨大乳頭性結膜炎」の可能性が高いでしょう。
発症原因は、前述の通り主に装着しているレンズの汚れによるもので、特にソフトレンズを使用しているとかかりやすく、レンズを使用している間は治っても繰り返しやすいので注意が必要です。
もちろん、症状がひどいようなら受診の上、レンズの使用を中止して抗アレルギー薬や処方点眼剤でしっかり治療が必要です。
またレンズの汚れが炎症巨大化の病因なので、洗浄など手入れをしっかりして清潔に保つことが重要な対処策になります。
花粉症でコンタクトがくもる原因は?
花粉症の季節に、まだおろして間もないコンタクトなのに、くもって見えづらいという方も多くいます。2Weekタイプなのに2~3日でくもりから見えづらさを感じることもあるようです。
もちろん花粉症とレンズのくもりには関係があります。
花粉症時には当然アレルギー性症状でたくさんの涙や目やにが分泌されますから、タンパク質汚れなどが普段時より早く付きやすいのは当然と言えます。
また花粉にさえもタンパク質や脂質などが含まれるので、シーズン中は余計に汚れが進みやすいのです。
ですので、このくもりも前述の巨大乳頭性結膜炎も、普段時より花粉症の季節には発症リスクが高まることを覚えておくべきでしょう。
くもりを感じたら、結膜炎を悪化させないようにレンズ手入れが必要なタイミングと捉えるのが正解なのです。
これまで見てきたように、ソフトコンタクトレンズと花粉症などのアレルギーは相性がとても悪いと言えます。
コンタクトレンズを使用している方は、花粉シーズンに入ったらレンズの手入れをさらに入念に心がけるべきでしょう。
くもり程度の段階ならまだいいですが、GPCになってしまいレンズがまばたきの度にずれるようになると、治っては再発するという繰り返しになる方も多いので、油断せずに受診と普段のメンテナンスをしっかり心がけることをおすすめします。
次章では、正しいレンズの手入れ方法やGPCになった時のレンズや目薬の注意点などを見てみましょう。
目薬で花粉症時のコンタクトレンズ用は?
これまで見てきたように、コンタクトレンズと花粉症などのアレルギーはとても相性が悪い関係で、特にソフトコンタクトではそれが顕著です。
ただでさえメンテナンスが必須のソフトレンズは、花粉シーズンにはさらに手入れの重要性が増すのです。水で洗うだけなど間違った手入れをしていると、たちまちGPCなどのリスクが高まります。
ここで、正しいソフトレンズの手入れ方法を少しおさらいしてみましょう。
最近ではつけ置きタイプの消毒液など便利なものもあるので、洗うのはおろかすすぎすら簡単に済ませる人がいますが、それでは涙の油脂や花粉のタンパク、コスメや手指から付いた汚れは落としきれません。大事なのは、ちゃんと消毒前にこすり洗いをすること。
①消毒前のすすぎの後、手のひらにレンズを乗せて、すすぎ液(または専用洗浄液)をたらす
②人差し指の腹で、手のひらに押し付ける感じで動かす方向を決めて20回程度こする
③裏返して、もう片面も同様に20回程度こすり洗いをする
この際、注意する点は清潔な指の腹でこすることです。異物が付いていたり、指先でこするとレンズが傷つき、かえって炎症を招いてしまいます。
また、指を丸く動かしてしまうとレンズの変形を招くので注意して下さい。
レンズがずれる方は、目薬などを利用して元の位置に戻す人もいるかと思いますが、もちろん目薬の選択も気をつけて下さい。普段から目薬も慎重に選んでいると思いますが、特に花粉症時期には注意が必要です。
ハードコンタクトは薬の影響も受けにくい素材なのでいいのですが、ソフトの場合は違います。
乱暴に言ってしまうとソフトコンタクトは涙が染み込んだスポンジのようなもの。その為防腐剤など異物の入った目薬をさすと吸収してしまい、酸素を通しにくくしたり、変形して角膜を傷つけたりします。
当然くもりの原因にもなりますし、吸収・付着した落ちにくい異物で炎症がさらに悪化したりするのでNGなのです。
もしどうしてもコンタクトをしたまま点眼するのなら、防腐剤無添加で人口涙液タイプのコンタクト専用目薬が前提になります。その代わり防腐剤が入っていないため短期間で使い切らないといけません。
変質を防ぐため、1回使い切りタイプのものもあります。よく「~PF」という名前の目薬がありますが、防腐剤無添加という意味です。
ただ、目薬の選択も大切ですが、できれば花粉症時だけでも、手入れが必要な2Weekから、使い切りの1dayコンタクトに変えるというのも理想的な手と言えます。
コストはかかりますが、使い切りなので手入れの手間もありませんし、例えレンズ上から防腐剤入りの目薬を点してもその日のうちに捨てるため、防腐剤の影響をそれほど受けないとされています。
(ただ目薬はあくまで原則的にレンズを外して点眼するのが安全ということは覚えておいて下さい。)
以上をまとめると、
・もし花粉症で「巨大乳頭性結膜炎(GPC)」まで併発しているようなら、レンズの使用を一旦やめて、受診して治療に当たる。
・その上でコンタクトレンズも1dayタイプに変更する
・目薬も常用を避け、使うならソフトレンズ専用目薬を使用期限内で使い切る
こんなことを注意して、レンズのずれやくもりに対処してみて下さい。
まとめ
やはりコンタクトレンズで特に目を覆ってしまうソフトタイプは、普段時でも眼に負担をかけるものなので、まして花粉症などアレルギー疾患にはとても悪影響があるものと言えます。
もし、そのせいで症状を悪化させているところまで来ているようなら、シーズン中だけでもメガネを使用するなど思い切った対処をすることも必要かもしれません。
油断をすると慢性化して再発を繰り返すようにもなりかねないので、毎年のことだからと軽く考えずに、きちんと治療するようにしてくださいね。
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