花粉症の方にはつらい春先ですが、少しでも症状を緩和しようと、いろいろ考えて対策していることでしょう。
よく花粉症対策には、「治療」「食事」「運動」とざっくり薦めることが多いですが、例えば運動はどんなことをすればいいのでしょうか?
つらい症状の最中にも、効果的にできる運動ってあるのでしょうか?
そこで、花粉症に効果が期待できる運動対策をおさらいしてみましょう。
花粉症は運動で改善する?
そもそも運動が花粉症に良いとされるメカニズムを知ることは、ポイントを押さえて取り組むのに大切です。
むやみに体を動かすより、改善できるというイメージを持つほうが効果が上がるはずです。
運動は、体脂肪の燃焼や心肺機能の改善などおなじみの効果がありますが、もちろんそれらは花粉症にも良い理由になります。
しかし、花粉症にもたらすメリットとして大きいのは主に2つです。
①自立神経を整える
花粉症の症状は、主には自律神経の暴走で起きていること。
特に花粉で刺激された副交感神経が興奮して、粘膜から異常に分泌物が出てしまうのです。
ですので、花粉症などのアレルギー体質とは、「副交感神経が興奮しやすい体質」ということでもあります。
運動は、この優位になった副交感神経を抑え、交感神経に切り替える役割をしてくれます。
②運動によるホルモンの分泌
運動は成長ホルモンを分泌させますが、これは別名「修復ホルモン」ともいい、粘膜の傷や炎症を治したり、抑えたりするのに効果的。
また、免疫機能の6割を占める腸の細胞を良好に保つのに大事なホルモンなので、免疫力が高まります。
免疫力を強化したら、もっと症状がひどくなるのではと思いませんでしたか?
そうではなく、無害である花粉を有害と誤って認識するのは、免疫力が低下しているために起こること。
強化されて正常に働けば、症状も緩和されるのです。
こんな仕組みが、花粉症の緩和や改善に運動が有効な理由なので、よく理解した上で取り組んで見てくださいね。
花粉症に効果があるエクササイズは?
では、具体的にどんな運動を取り入れればいいのでしょうか?
副交感神経を抑え、ホルモンを効果的に分泌する運動には、どういうものがあるのでしょうか?
基本的には、どんな運動でも効果は望めます。
歩く、泳ぐ、ストレッチ、ヨガなど、自分にあったエクササイズから取り入れればいいでしょう。
成長ホルモンは、壊れた筋肉を治す際にたくさん出るホルモンなので、筋トレが効果的とも言われていますが、有酸素運動で体内の一酸化窒素が増えることでも分泌されることが分かっています。
なので、無理に重いダンベルを持ち上げる必要はありません。
だいたい、花粉症のシーズンにはハードなトレーニングなどする元気はないですよね。
また体の強化ではなく、自律神経を整えるのが目的であれば、それほど大変な運動でなくても、十分効果があります。
ちなみに、最近テレビでも引っ張りだこの小林弘幸先生が考案した運動を紹介しましょう。
<両手上げ上げエクササイズ>
①足を肩幅くらいに開いて立つ
②そのまま、体の軸がぶれないようにひねる
③ひねる際には、勢いよく両手も振り上げる
④さらに、振り上げる際に「フッ」と短く息を吐く
これは、副交感神経から交感神経に切り替えるのに効果的なエクササイズです。
体がだるくてやる気が起きない時や、朝起きたばかりの、副交感神経が優位な状態から、交感神経を活発にする効果があるのでオススメです。
深い呼吸は副交感神経を高めますが、短い呼吸は交感神経を刺激するので、呼吸だけでもやる価値があるでしょう。
また、この運動は腸も効果的に刺激して便秘を改善するので、免疫力も強化でき一石二鳥なのです。
自律神経は、いったん乱れると3時間近く正常に戻らないと言われています。
花粉症の時期が来る前から、朝のエクササイズ習慣として取り入れると、いつもと違うシーズンが過ごせるかもしれません。
もうひとつおすすめなのが、水中運動です。
湿度が高く花粉がほとんどない環境ということもありますが、水の中では水圧や水の温度で交感神経が優位になります。
水から上がると、今度は副交感神経が優位になりやすく、その繰り返しで自律神経が整えられていきます。
お金や時間の余裕がないとなかなかできないスイミングですが、花粉症の時期だけでも思い切って会員になり、仕事帰りに行くようにすると、花粉症の緩和・改善が期待できますよ。
花粉症の人の運動時の時間帯や注意点は?
ただ、運動に取り組む際に、注意が必要なのは言うまでもありません。
場所は花粉が少ない屋内が基本になると思いますが、自宅だけでなく、ウェアを着替えるタイプの運動施設も、花粉が持ち込まれにくいのでオススメです。
今流行のボルダリングの施設などは、空気清浄機が完備されているところが多いんですよ!
また、先程紹介したプールなどは、特に花粉の少ないロケーションです。
もし、どうしてもウォーキングやジョギングが好きなら、装備はもちろんですが、花粉の少ない朝夕や、雨上がりなど選ぶ工夫も大切です。
症状が強く出ている時は控えた方がいいのはもちろんですが、花粉症はさまざまなアレルギー症状を併発するので、特に注意したいのが運動で誘発するアレルギーです。
運動がきっかけて症状が出やすいアレルギーには以下のようなものがあります。
①運動誘発喘息
アレルゲンなしでも発症しますが、花粉症の方は多くのアレルギー疾患を併発している可能性があるので、運動も注意が必要です。
②口腔アレルギー症候群
花粉症の人が、花粉と構造が似ているフルーツや野菜、ナッツを食べた時に、口の中や唇にしびれや違和感を感じる症状で、果物アレルギーと呼ばれています。
特に、食事と運動が重なることで起こる食物アレルギーは怖いので、花粉症の方は食後2~3時間は運動を避けてください。
大切なのは、自分のアレルギーをよく知ること。
もし喘息や果物アレルギーの自覚がある方は、むしろ運動は避けたほうがいいかも知れません。
また、薬の服用後も激しい運動を避けるべきなのは、ほとんどの薬の注意書きに記されているとおりです。
いずれにしても、アレルギーにかかわらず食後や内服後の運動はいいことではないのですし、激しい運動は活性酸素を発生させてかえって逆効果です。
軽い運動から始め、体調を見ながら無理をしないことが、花粉症対策には効果的と言えるでしょう。
まとめ
大事なのは、少しでも体を動かすこと。
何も、特別の時間を設けなくても、階段を使ったり、休憩時間にスクワットなどをするだけでも、無駄ではありません。
大事なのは「継続」です。
ぜひ、無理をせずに頑張ってみてくださいね。
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