京都の紅葉はどこへ言っても素晴らしいところばかりですが「人混みで高揚した赤い顔を見に行ったようなもの」などという、笑い話のようなことになりかねないスポットもあります。
せっかく情緒あふれる景観を期待していったのに残念なことになるのもしばしばです。
でも、もしあなたが京都らしい紅葉体験はしたいけれど、有名度や人気にはこだわらないというのであれば、スポットが沢山ある京都ゆえに、穴場も意外に豊富です。
今回は、そんなスポットを左京区でピックアップしてみましょう!
京都で紅葉の穴場 赤山禅院とは?
左京区は、なんと言ってもあの混雑でも有名な「永観堂」「詩仙堂」があるエリアですが、実はその付近にぽっかり穴が空いたような穴場名所があるのをご存知ですか。
近年、穴場だったスポットも年を追うごとに人が増え始めていますが、まだ定番名所に比べればはるかにストレスなく楽しめる穴場も沢山あります。
そんな中から、厳選して紹介しますね。
※左上(表題の頭)の→□ボタンでガイドエリアを表示させ、目的の地区にチェックを入れながら参照ください。(スマホでは横回転させると見やすいです)
<赤山禅院(せきざんぜんいん)>
住所:京都市左京区修学院開根坊町18
TEL:075-701-5181
拝観時間:9:00~16:30
拝観料:無料
駐車場:なし
アクセス:地下鉄烏丸線 松ヶ崎駅下車、タクシー7分
叡山電車 修学院駅下車 徒歩20分またはタクシー5分
市バス 修学院離宮道 下車
見頃:11月中旬~下旬
サイト:http://www.sekizanzenin.com/
比叡山延暦寺の塔頭(たっちゅう=支寺)で、888年に創建の天台宗のお寺です。近くには、あの詩仙堂や修学院離宮があり、地域の人には「赤山さん」と呼ばれ親しまれています。
叡山の千日回峰(荒行として知られる7年間の修行)の巡礼場でもあり、修行僧は延暦寺とこの場所を含む巡礼場所を巡ります。
入ると目につくのが本殿の屋根に鎮座する猿の像。赤山禅院は方除けのご利益が有名ですが、この猿は北東の鬼門に位置するこの寺の守護神として据えられています。(暴れん坊なので檻に入っています)
また、社殿の入り口にあたる数珠で模られた「念珠の門」や境内で見かけるシーサーの置物など、神仏混合の寺院の不思議な雰囲気が感じられるでしょう。
近場に有名スポットもあり、また修学院離宮よりさらに山手の立地のため知る人ぞ知る隠れた穴場ですが、実は「もみじ寺」とも呼ばれる名所なのです。
・無料拝観できそれほど混み合っていないので、京都紅葉見物の穴場だと思います。
・観光客でごった返す紅葉シーズンの京都にも関わらず、閑散としていました。
特に山門から社殿へ続く参道はあたかも紅葉のトンネルのようで、12月も近くになると落ち葉で絨毯も敷かれる、地域でも愛されるスポットと言えます。参道でのおすすめは、紅葉の密度が濃い弁財天あたりのモミジです。
他にも沢山の紅葉が境内を飾っていて、シーズンの11月には毎日紅葉祭りも行われる予定ですので、さらに楽しめるでしょう。
方除けだけでなく、荒行を経た法力の強い阿闍梨が念ずるぜんそく・気管支炎封じも評判が高く、毎年無病息災や回復治癒を願って訪れる参拝客は後を絶ちません。
京都で紅葉の穴場 蓮華寺とは?
<蓮華寺>
住所:京都市左京区上高野八幡町1
TEL:075-781-3494
拝観時間:9:00~17:00
拝観料:400円
休日:無休
駐車場:あり(無料)
アクセス:叡山電車「三宅八幡駅」下車、徒歩約10分
京都バス「上橋」下車、徒歩約1分
見頃:11月下旬~12月上旬
サイト:http://http://oharano-jinja.jp/index.html
天台宗の寺院で、創建年代は不明です。1992年に再興された時、現在この寺で人気の池泉式庭園も作られたとされ、作者は詩仙堂庭園と同じ石川丈山ではないかと言われていますが、やはり不明で特定には至っていません。
以前に初夏のテーマでしたがCMに採用されたりして、穴場として有名になってきているのでタイミングによっては賑わっていることもありますが、少なくとも定番スポットの混み様からは程遠いので依然穴場と言えるでしょう。
今でも「修学旅行生お断り」の張り紙をしているくらいなので、もうしばらくは大丈夫ではないでしょうか。
・とてもこじんまりとしており、訪れる人は決して多くはありませんが、紅葉が見事です。
・大原と修学院の中間の 蓮華寺は穴場か 人の訪問が少ない
門をくぐると、最盛期であればすぐ赤と黄の競演が広がります。赤一色ではなくイチョウもその黄金色を主張しているのでバランスがきれいです。特に落ちるのが先のイチョウが地面を、最盛期の紅葉が頭上を覆う空間はしばし足を止めて見入ってしまうと思います。
書院に上がって眺める自慢の庭園は額縁の中の絵画のようで、池を囲む苔の緑と色づく紅葉のコントラストが素晴らしく、カメラを構える方が沢山います。
この寺にある傾斜角度が鋭い蓮華型の石灯籠は珍しく、苔に覆われ侘び寂びの情感がたっぷりですの、紅葉ショットのお供に使える絶好のアイテムですよ!
実は蓮華寺は仏教の教えを重んじる寺で、住職さんの「お寺は紅葉を見るところではなく、お参りに来るところです」という注意がたまに聞こえるほど、紅葉目的のみの見物客の受け入れをあまり歓迎していないところです。
ですのできちんと拝観をして、ありがたいお話を聞きながら紅葉も楽しむというスタンスがおすすめのスポットと言えるでしょう。
京都で紅葉の穴場 実相院門跡とは?
<実相院門跡>
住所:京都市左京区岩倉上蔵町121
TEL:075-781-5464
拝観時間: 9:00-17:00
拝観料:一般500円、小人250円
駐車場:あり(ただし秋季は利用不可))
アクセス:地下鉄烏丸線「国際会館」終点下車
京都バス「岩倉実相院」下車門前
見頃:11月中旬~12月上旬
サイト:http://www.jissoin.com/
「門跡」というのはあまり聞きなれない言葉だと思いますが、皇族や公家(の子弟ら)が住職を継いで務める特定の寺院を指します。当然、門跡寺院は寺格が高いと言え、同じ左京区で紅葉がきれいな曼珠院や山科の毘沙門堂も同じく門跡です。
実相院も天皇の血を受け継ぐ住職が代々勤めた天台宗派では随一の門跡寺院で、岩倉の地にあることから「岩倉門跡」「岩倉御殿」と称されました。
そのため京都御所内の門や客殿を下賜されたり、歴代天皇の収蔵品も数々ある寺院です。
格式が高いこともあるせいか「撮影禁止」など少し見学のルールも厳格ですが、受け継ぐ遺産や歴史を考えればうなずけるでしょう。
京都市街からも離れており、最寄の岩倉駅からも少し時間がかかるので定番スポットほどの混雑はなく穴場と言えます。
・京都の街中からは少々離れていますが、静かで落ち着いた場所です。
実相院の見どころは、なんと言っても趣の異なる二つの庭です。石庭と池泉回遊式庭園のいずれでもこの時期は紅葉が彩りをプラスしていっそう見ごたえを増します。
石庭は缶コーヒーのCMでも登場したことがあるので、ご存知の方もいるでしょう。
※0:34くらいからの石庭のシーンです。
かなたに望む比叡山も借景にして、モノトーンの石庭と色彩豊かな紅葉のコントラストは必見!また客殿・書院間にある池泉回遊式庭園は、豊かな自然の風情が池を囲んでいてとても落ち着きます。
庭園もそうですが、この実相院には多くの人が目当てに訪れる見事な演出風景があります。それが、縁側から四季折々の景色が映るように磨き上げられた「滝ノ間」の黒い木床です。
冬の雪化粧は「雪化床」、春の新緑は「床みどり」と呼ばれ、もちろんこの時期の「床もみじ」も、まるで染め上げたように足元を極彩色に演出します。
これを観たときばかりは撮影禁止を恨む見物客は多いことでしょう(笑)。しかし三脚などで床が痛んでしまうと、結局観る私たちも損をすることになってしまうので、記憶のスクリーンに焼き付けて味わうことにしましょう。
まとめ
今回は、左京区の個性的な紅葉スポットを紹介しました。特に蓮華寺さんや実相院さんは、観光とは何かを考えさせられる良い機会になる場所と言えそうです。
「穴場」という求め方が、ある意味自分本位な性格を持っている事も心のどこかに踏まえたうえで、通り過ぎるだけという立場もわきまえ、相手のルールを尊重することは大事なことですよね。
「拝観」~神社・仏閣やその宝物などを謹んで観覧すること。※デジタル大辞泉より
そんな気持ちで寺院観光を考えれば、不快にもならず楽しむことができ、自分も得をするはずです。
そんな素敵な紅葉観光になることを祈っています!
⇒左京区の他の紅葉穴場は
「京都の紅葉で左京区の穴場を厳選! 南禅寺・金戒光明寺・真如堂!」
「京都の紅葉で左京区の穴場を厳選③!金福寺・円通寺・曼殊院!」
「京都の紅葉で左京区の穴場を厳選④!無鱗庵・法然院・安楽寺!」
「京都の紅葉で左京区の穴場を厳選⑥!霊鑑寺・天授庵・鷺森神社!」
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