古都・京都は四季すべてが美しい風景ですが、特に春の桜景色は秋の紅葉と並んで見逃せない風物詩です。
そんな京都で、穴場を探してゆったりと桜を鑑賞するのも楽しみのひとつですが、やはり混雑を覚悟してでも行ってみたい名所もはずせません。
そこで、京都の桜名所で定番とも言える観光スポットを、その見どころや見頃とともに紹介しましょう。
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上賀茂神社の桜の見どころや見頃は?
<上賀茂神社>
出典:「京都もよう」
日本の歴史の中心舞台であった京都には、長い歴史を刻んできた古刹や古代社がたくさんありますが、上賀茂神社も史実が残っている神社の中では最古を争います。
下鴨神社(賀茂御祖神社)と並んで賀茂氏の氏神社ですが、社伝によれば始まりは678年に創建された賀茂神宮とされ、平安遷都以降は皇城の鎮護社として伊勢神宮に次ぐ位を与えられていました。⇒関連記事「下鴨神社の桜」
神社の北に広がる神山に降臨した「賀茂別雷命」を祭神とし、正式な名前は「賀茂別雷神社(かもわけいかずちじんじゃ)」で、厄除け・開運や雷除け・電気関連の守り神として信仰を集めています。
下鴨神社とともに世界遺産登録されている上賀茂神社は見どころも数え切れず、シンボルの朱塗り楼門、本殿・権殿など40以上の重文や、平安庭園「渉渓園」も抱えています。
紅葉の景勝地としても大人気ですが、春には落ち着いた境内を100本以上のさまざまな桜が飾る花見の名所でもあります。
敷地は広大なので、少々の人出でも混雑感は感じないで、ゆったり桜を楽しめるでしょう。
・市内から少し離れているだけですが、自然が多く感じられ大変癒されます。参道はとても広くゆったりとした気持ちになります。本殿はとても厳かな雰囲気で神秘的な空間でした。春に訪れたときに咲いていた枝垂れ桜がとても綺麗でした。
・特におすすめなのは、桜の季節。緑と青空と桜色が最高にきれいです。心洗われます。
23万坪の敷地に100本の桜は、たしかに境内に咲き乱れるというほどの数ではありませんが、上賀茂神社が桜名所の理由は、名物桜がいくつもあり、おのおのが風景を持っているからです。
●斎王桜~一の鳥居をくぐった広場の右側に立つ枝垂れ桜の内、鳥居に近いほうが紅色の濃い斎王桜です。ちなみに、隣の白い枝垂は「御所桜」なのでわかりやすいでしょう。
斎王とは賀茂神社や伊勢神宮のみで祭事を手伝う未婚の皇女を指します。この神社の最も目玉と言える斎王桜は、迫力あるスケールとともに、そんな淑女の気品を感じる名桜です。
紅枝垂でも八重咲きなので見頃は遅めです。ソメイヨシノの後の4月中旬がタイミングになるでしょう。
●御所桜~斎王桜より二の鳥居に近い、御所舎脇に立つ早咲きの白い枝垂桜が「御所桜」です。
孝明天皇が京都御所より賜った桜なので、この名前で呼ばれています。広い場所で、淡い色の花が降りそそぐさまはとても爽やかで、開放感がある眺めでしょう。
ソメイヨシノより少し早めの4月初旬に見頃を迎えます。
●風流桜~二の鳥居のそばで咲く枝垂桜です。
例祭のときに風流傘の目印になる大切な桜で、形も風流傘のように象られ、朱柵とのコントラストも風雅です。
●みあれ桜~重要文化財の細殿(舞殿)の前には、この神社の見どころでもある立砂が、神の依代として円錐形に盛られていますが、そのすぐそばの授与所脇に咲く紅枝垂桜です。
例祭に向け、神迎えの神事「御阿礼」の際にこの桜の下を神幸するため、この名が付けられました。
●賀茂桜~橋を渡った朱塗りの楼門の脇で咲く八重桜で、遅咲きで4月中旬が見頃です。
全体的には4月上~中旬が見頃の目安になりますが、御所桜だけは初旬になるので、注意してください。
なお、行事やイベントも多く、5月の例祭「賀茂・葵祭」は有名ですが、桜のシーズンに行われるものとしては「賀茂曲水宴」があります。
4月の第2日曜(2017年は9日)の13時から、平安の雅な風情漂う庭園「渉渓園」で和歌を詠む歌遊びが始まり、野点の席も設けられる風雅な催しです。
まさに「春爛漫」を味わえる時間が過ごせるので、予定を合わせてお出かけください。渉渓園内には「願い石」と呼ばれる祈願成就のパワー陰陽石もあるので、祈願を忘れずに。
<賀茂曲水宴>
日時:4月第2日曜日
時間:13:00~
料金:1,000円(茶券付き/先着で限定数あり)
<基本情報>
住所:京都市北区上賀茂本山町339
TEL:075-781-0011
拝観日:無休
拝観料:境内無料
拝観時間:8:30~16:00
駐車場:あり(有料 170台)
アクセス:地下鉄「北大路」駅下車 徒歩約26分
市バス「上賀茂神社前」下車 徒歩約1分
見頃:4月上旬~4月中旬
サイト:http://www.kamigamojinja.jp/index.html
平野神社の桜の見どころや見頃は?
<平野神社>
出典:「京都もよう」
金閣寺の南にあり、北野天満宮もほど近い平野神社は、794年に平安京遷都に伴って、平城京から遷座された由緒正しき古社です。
その位は上賀茂神社に劣らぬ高さで、歴代朝廷や武家などからも信仰が篤い名社として歩んできました。
本殿は、2棟4軒の社殿を連結した「平野造り(比翼春日造り)」と呼ばれる珍しい形式で、重要文化財でもあります。
また、パワースポットとしての人気なのが「すえひろがね」という霊石です。鉄を多量に含む「餅鉄」という希少な石で、参拝客は磁石入りのお守りを祈願しながら石に付け、成就を願います。
四季折々の花暦を魅せる名所はたくさんありますが、この神社と後で紹介する原谷苑ほど、桜に強烈に特化した名所イメージを持つスポットは少ないでしょう。
その歴史は古く、江戸の世からすでに桜の名所として人々に親しまれ、「夜桜の平野」とも呼ばれていたといいます。
公家からも奉納され、今に受け継がれてきた桜は60種・400本にのぼり、3月中旬より1ヶ月以上も花見を味わうことができる、京都屈指の花園と言えます。
・桜の名所と呼ばれる場所が多い京都の中でも、平野神社は特に有名です。多くの品種が植えられており、長い期間花見を楽しめることもあり、多くの花見客が訪れます。
・桜の種類が多く、一つ一つに名前の書かれた札がつけられています。500本の桜があるそうです。見ていて飽きません。桜花祭というお祭りも開催されます。
・神社自体の規模は大きいわけではありませんが、桜の数は本当にすごい!!あまりの綺麗さに桜保存の寄付までしてしまいました。桜の季節には絶対に寄るべきスポットです!
全てを紹介するときりがないので、主だった桜を神社の説明書き板をお借りして紹介すると、
朱色の大鳥居をくぐると、やはり朱塗りの灯籠が参道を整然と並び、参拝者を出迎えてくれますが、淡い桃や濃紅の競演はそこから惜しむことなく始まります。
品種説明の立て札もあるのでよくわからず鑑賞することもありませんし、境内の南側には花見スペースも設けられるので、落ち着いて眺めることもできるでしょう。
往古に天皇が桜をお手植えしたことが由来で始まった「桜祭神幸祭」も、毎年4月10日に行われ、平安装束を身にまとった神幸行列が御鳳輦を担いで、周辺氏子地域を練り歩きます。
境内南側のさくら苑では、宴席や屋台が並び、表情の違う桜たちに囲まれて、賑やかな花見を楽しめるはずです。
<桜花祭>
日にち:4月10日
時間:10:00~神事(天皇陵参詣など)
13:00~16:00頃 神幸行列
料金:無料
もちろん、「夜桜の平野」も楽しまないわけにはいきません。
毎年3月下旬から4月中旬すぎまで、あふれるほどの花霞が照らし出され、幻想的と評判の夜桜が楽しめます。
もちろん花見席も設けられ、夜店も立ち並ぶので、宵山のような雰囲気も味わえます。
夜桜期間中には、拝殿で桜コンサートも開かれるのでチェックしてみてください。
<平野神社 ライトアップ>
期間:3月25日~4月20日(例年 要確認)
時間:日没~21:00
平野神社は、風景に調和した格式の高い桜を味わうというより、桜の園で堅苦しくない花見を楽しむというのが似合うスタイルの名所かもしれません。
<基本情報>
住所:京都市北区平野宮本町1
TEL:075-461-4450
拝観日:無休
拝観料:境内無料
拝観時間:6:00~17:00(桜時期は~22:00)
駐車場:あり(無料 20台)
アクセス:市バス「衣笠校前」下車 徒歩すぐ
見頃:3月下旬~4月中旬
サイト:http://www.hiranojinja.com/
※TOP画像も平野神社の風景:出典PHOTOGRAPH.PRO
原谷苑の桜の見所や見頃は?
<原谷苑(はらだにえん)>
出典:京都の桜写真
原谷苑は、寺社ではないどころか観光地でもなく、ガイドブックにも載らない普通の農園です。
「村岩農園」といい、普段は桜の苗木を育てる農園ですが、昭和38年より、桜のシーズンに一般公開されるようになりました。
個人所有の景観を開放してくれている例として、桜守り・佐野藤右衛門氏の庭が思い浮かびますが、こちらも同様で、紅枝垂れ桜の群生地としては、京都屈指といっていいでしょう。
起伏に富む4000坪の敷地には、他にも20種400本の桜や、椿、ボケ、ツツジ、アシビ、シャクナゲなどの春の花もいっせいに咲き、苑内は文字通り百花繚乱の景色が現れます。
この、知る人ぞ知る桜の名所は、近年評判を聞きつける人で賑わい、メジャーな桜スポットになりつつあります。
・原谷苑は、花見の人で大賑わいです。桜が所狭しと咲いております。最高の眺めです。京都の桜は、風情があっていいですが、隠れた名所があったのです。
・枝垂れ桜が最高に綺麗で、その他にも、山吹やつつじ、シャクナゲなどいろんな花が咲いていて、桃源郷のようでした。
平野神社と同じように、ここも桜の博物館と言えます。
桜の儚さより、生命力を感じるスポットと言ってもいいくらい、咲く勢いや密度は圧巻です。有名寺社と比べても高めの入園料は、いったん入ればその割高感はすぐけし飛ぶはず。
最も多い紅枝垂桜は、樹齢60年超の立派な木で見応えあり、見頃はソメイヨシノの後の4月中旬です。その後の4月も後半には、遅咲きの御室桜や菊桜などが見頃を迎えます。
なお、この原谷苑を眺望できる超穴場ポイントがあります。
それが、すぐそばにある「原谷弁財天」です。原谷苑より高台にあるため、見下ろす形で苑を眺めることができ、まるで花で作られた屋根のように咲く様子が圧巻です。
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ちなみに、佐野氏の庭もそうですが、開放しているとは言え、個人の敷地内であることを考えれば、ルールやマナーがあるのは自ずとお分かりでしょう。
末永く開放してもらうために、手塩にかけた素晴らしい桜を静かに愛でるのがルールと言えます。
以下は注意書きの転載です。
× 三脚・一脚、敷物等のご使用
× ペットを連れてのご入場
× その他、他のお客様のご迷惑になる行為 また、ご来苑の際は、近隣の皆様へのご迷惑にならないよう、 自家用車・マイクロバス等でのお越しをご遠慮頂いております。
お弁当なども持ち込み禁止ですが、苑内には売店もあり、予約すればすき焼きや、桜を使った「紅しだれ弁当」を味わうことができます。
また、アクセスに便利な、無料シャトルバスもバス停「わら天神前」の近くから出ているので、うまく利用してお出かけください。
<基本情報>
住所:京都市北区大北山原谷乾町36
TEL:075-492-1963
開園日:3月中旬~4月下旬(要確認)
入苑料:~1,500円(曜日や開花状況による)
開園時間:9:00~17:00
駐車場:あり(無料 20台 桜の時期は利用不可)
アクセス:市バス「原谷」下車 徒歩すぐ
見頃:4月上旬~4月下旬
サイト:http://www.haradanien.com/
まとめ
京都の桜の名所は、ひとつひとつが驚くほど趣が違うスポットなのも、大きな魅力でしょう。
特に山の手に近い北区エリアは、アクセスがそれほど良くないことも手伝い、観光地化されていない通好みのスポットがたくさんあります。
いずれも、派手さよりも、しっかりした価値の高い風景に出会える名所ばかりです。
ぜひ足を伸ばして、そんな価値ある桜風景を、ぜひご自身の目で確かめに訪れてみて下さい。
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